環境保護の情報メモ

農薬開発の概要、現況

農薬開発の現況、開発プロセスなどについてメモ書きしています。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 農薬の開発期間、費用、商品化率
  2. 農薬開発のプロセス
  3. 開発の目標
農薬の開発期間、費用、商品化率

・新規化合物が合成されてから、市場に出るまでには10年以上、開発費用も100~150億円かかる。
 
・1975年頃は新規化合物が商品になる確率は、平均で1万~2万分の1という報告があったが、農薬に求められる条件が年を追うごとに厳しくなり、現在ではその確立は5万分の1以下といわれている。

農薬開発のプロセス

1)スクリーニング
 
①生理活性物質の探索
既に実用化されている成分や、その類縁化合物から得られる化学構造と生理活性の関係、天然の生理活性物質の研究調査、動植物や病原菌の生化学的な研究から得られる情報などをヒントに、合成すべき化合物の概念を定め、数多くの化合物を合成する。
 
②生物試験
実験室で飼育・培養されている昆虫・病原菌などを用いて、化合物の活性を検定する生物試験を行う。
 
③選抜(スクリーニング)
上記①②の過程を繰り返しながら、目的にかなう化合物をスクリーニングする。
 近年、安全性に対する諸条件が厳しくなっていることや、時代と共に開発目標や要望等のハードルが高くなり、新農薬の発明・成功の確率は極めて低くなっている。
 
2)効果、毒性・残留性などの試験
 
・急性毒性試験
スクリーニングと平行して急性毒性試験が行われ、新農薬の候補化合物が絞り込まれる。
 
・小規模圃場での薬効・薬害試験、安全性評価のための各種毒性試験、分析法や製剤研究、製造のための研究
 
・各種の毒性試験・代謝試験・残留性試験など、安全性評価に重点が置かれていて、1剤を開発するのに10年以上の期間を要し、特に慢性毒性試験については結果がまとまるまで約3年の期間と、数億円単位の費用が必要となる。
 
3)総合評価、登録申請
 
開発の最終段階では、それまで実施した薬効・薬害、各種の毒性、残留性などの各種試験の成績と、製造・需要予測などの検討結果をもとに総合評価を行い、製品化の意思決定がなされると登録申請し、生産・販売に向けて準備がなされる。

開発の目標

●理想的な農薬の具備すべき条件
 
・目的の効果があり、少量で効き、薬害がない。
・薬剤抵抗性がつかない。
・高等動物に毒性が低い。
・残効性・残留性が適当である。
・選択毒性がある。
・安価である。
・環境にやさしい。
・施用しやすい。


※参考情報
ホクレン農薬.net/農薬の基礎知識

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