環境保護の情報メモ

遺伝子組み換え作物の環境、生態系へ与える影響

遺伝子組み換え作物が環境、生態系へ与える影響(生物多様性、CO2排出、土壌流出など)についての情報をメモ書きしています。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 生物多様性、生態系に与える影響
  2. CO2排出、不耕起栽培による土壌流出の防御
  3. 遺伝子によるトロイの木馬効果
生物多様性、生態系に与える影響

※農薬の使用量については以下の記事参照。
遺伝子組み換え作物による収量の増加、農薬の使用量の”農薬の使用量”
・遺伝子組み換え作物は農薬の削減などを通じて、蝶や蜂などの益虫を守り、水系の農薬汚染を減らし、環境保護にもなっている。
 
・除草剤(ラウンドアップ)耐性遺伝子組み換え作物を採用した農家は、除草剤としてラウンドアップを使用するようになるが、これまで使用していた除草剤より毒性が低くなる場合が多い。
 グリホサートはアトラジンなど旧来の農薬よりも劇的に毒性が低い。ラウンドアップはアトラジンより約200倍も毒性が低い。
 
※参考情報『小島正美(2015)誤解だらけの遺伝子組み換え作物 エネルギーフォーラム』

※アトラジンについては以下の記事も参照。
農薬と野生生物、農場労働者の”アトラジン”
 

・英国の環境・食料・農村地域省の調査では、遺伝子組み換え作物を導入すると、従来の除草剤や殺虫剤を用いる伝統的な集約農業と比べて、チョウ、ハチ、草、種子が劇的に減ったと報告している。
 
※参考資料『フィリップ・リンベリー(2015)ファーマゲドン 日経BP社』

 

○2003年、イギリスの"フィロソフィカル・トランザクションズ"の遺伝子組み換え作物の試験の結果
 
・除草剤耐性品種と従来品種が半分ずつ植えられた、66のサトウダイコン圃場、68のトウモロコシ圃場、67のキャノーラ圃場で実施。圃場の内部、周辺部に見つかった雑草種と種子の数、甲虫類の数、蝶類の数、その他の無脊椎動物の数を数え比較。
 
・一部の遺伝子組み換え作物(サトウダイコンとキャノーラ)は生物多様性を減らしたが、遺伝子組み換えトウモロコシは生物多様性を増やしたと結論付けた。
 遺伝子組み換えトウモロコシに使われた除草剤グルホシネートは、従来品種トウモロコシに使われた除草剤アトラジンほど多くの雑草を枯らすことがないため、遺伝子組み換えトウモロコシの畑の方が生物多様性が高くなる。
 
※参考資料『ニーナ・フェドロフ(2013)食卓のメンデル 日本評論社』

 

・ある研究では3年間に及ぶ調査で、除草剤耐性作物に対して除草剤が散布され続けたために、蜂、蝶、鳥の数が30%も減少した可能性があると指摘している。
 
※参考情報『アンドリュー・キンブレル(2009)それでも遺伝子組み換え食品を食べますか? 筑摩書房』

CO2排出、不耕起栽培による土壌流出の防御

※不耕起栽培については以下の記事も参照。
遺伝子組み換え作物の有機農家への影響、有機農業との比較の”不耕起栽培”
●遺伝子組み換え作物の耕起、CO2排出に関する基本データ
 
・作物バイテクにより、1億900万ヘクタールの農地の耕起が不要になった。
・農業分野ではバイテクによって二酸化炭素排出が減少した。
・1996年から2007年にかけて、バイテクにより、CO2排出量は105億キログラム減少した。
・2012年において、大気へのCO2排出量は、270億キログラム減少した。
 
※参考情報『小島正美(2015)誤解だらけの遺伝子組み換え作物 エネルギーフォーラム』

 

●遺伝子組み換え作物による温室効果ガス(GHG)の排出低減(G.ブルックスとP.バーフットが最新の推定(2014))
 
・GM作物の利用は、除草剤や殺虫剤の散布頻度の低下による燃料消費の削減、及び土壌耕起のためのエネルギー消費量の低減、この二つに役立っている。
 
・不耕起や減耕起への移行によって、トラクターの燃料消費を削減できる。
 
・畑の耕起が少なくて済む減耕起や不耕起栽培では、有機炭素は作物の残さとして土壌中に貯蔵、隔離されることになる。このような(土壌中への)炭素隔離により、環境へ排出される二酸化炭素は、少なくなる。
 
・減耕起による土壌中への炭素の隔離量の増加による効果によって、2012年には、246億1,300万kgものCO2排出が削減された。(約1,090万台の乗用車を道路から取り除いたに等しい値)
 同様に燃料の使用量削減による効果は、93万台の乗用車を道路から取り除いたに等しい値となっている。
 
※Q&A詳細|バイテク情報普及会

遺伝子によるトロイの木馬効果

・普通よりも成長が早い遺伝子組み換えサーモンを開発。
・遺伝子組み換え魚を海や川に放流すると破滅的な結果になる恐れがある。
 急成長した遺伝子組み換え魚は野生種よりも繁殖力が強いが、短命。
 交配を通して成長遺伝子が群れに広がり、生存能力が低下して群れは絶滅に向かう。
一般の魚は産卵の際に、遺伝子組み換え魚のオスをパートナーに選ぶ
→この子孫は不自然な成長遺伝子を引き継いだため、短命なまま死亡する率が増える。
→野生の魚が減少して、絶滅する可能性も。
 
※参考情報『アンドリュー・キンブレル(2009)それでも遺伝子組み換え食品を食べますか? 筑摩書房』

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