環境保護の情報メモ

POPs農薬対策の概要

POPs農薬対策についてメモ書きしています。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. POPsとは?
  2. POPs条約が指定しているPOPs物質
  3. 日本の状況、対応
  4. POPs条約
  5. POPs農薬無害化処理技術の概要
POPsとは?

・残留性有機汚染物質(POPs)とは、Persistent Organic Pollutantsの略。
 
・環境中で分解されにくく、生物体内に蓄積しやすく、地球上で長距離を移動して遠い国の環境にも影響を及ぼすおそれがあり、いったん環境中に排出されると人の体に有害な影響を及ぼすおそれがある物質のこと。
 
・"残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約"(以下"POPs条約")によって、意図的につくられたもの、非意図的に生成されたものを含めて、DDTやディルドリン、PCBなど12種類がPOPs物質として指定されている。
 
※参考サイト
POPs農薬対策 - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

 

・POPsは生物に蓄積しやすいため、環境中にある量が少なくても、食物連鎖による生物濃縮によって捕食者の体内に高い濃度で蓄積してしまうので、悪い影響が起こるのではと心配されている。
 
・POPsは環境中で分解されにくいため、大気の流れに乗って地球全体に広範囲に移動・拡散し、POPsをこれまでに製造・使用したことがない地域でもPOPsによる汚染が見つかっている。
 
・日本ではPOPsの製造・使用を既に法律で原則として禁止しているが、POPsの中には、製造しなくても意図せず生成してしまうものがある。
 過去に使用されたPOPsが現在もなお環境中に存在しているため、今後も引き続き環境中に存在するPOPsを監視していくことが必要。
 
・POPsは環境中で分解されにくく、また、油に溶けやすい性質を持っているため、POPsが野生生物の体の中に取り込まれると、脂肪に蓄積され、継続的に摂取し続けることにより体内のPOPsの濃度が徐々に高くなっていく。
 赤ちゃんに脂肪分の豊富な母乳を与えるような哺乳類では、小さい頃からPOPsにばく露されることになる。
 
・長い間POPsにばく露されると、人や野生生物の生殖器の異常や奇形の発生、免疫や神経への影響などの悪影響をもたらす可能性があると指摘されているが、どのようにして発生するのかなどまだ科学的に未解明の点がたくさん残っている。
 
※参考サイト
環境省_POPs パンフレット

POPs条約が指定しているPOPs物質

○意図的生成物
・農薬
アルドリン、ディルドリン、エンドリン、DDT、ヘプタクロル、クロルデン、HCB(ヘキサクロロベンゼン)、マイレックス、トキサフェン
・工業化学物質
PCB(ポリ塩化ビフェニル)類
※PCBについては以下の記事参照。
PCB対策の概要

 
○非意図的生成物
PCDDs(ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン)、PCDFs(ポリ塩化ジベンゾフラン)
 
※参考サイト
POPs農薬対策 - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

日本の状況、対応

・DDT、エンドリン、ディルドリン、アルドリン、クロルデン、ヘプタクロルが、農薬の有効成分として過去に使用されていた。
 
・人や環境に対する安全性の観点から、1971年に農薬取締法が改正され、急性毒性の強い薬剤や残留性の高い薬剤は、農薬としての登録が認められず、製造や販売が禁止された。
 
・すでに製造されていたPOPs農薬については、農林水産省の指導・支援により、ドラム缶等に封入してコンクリート製の槽の中に入れたり、ビニルシートを敷いた穴の中に入れて、シートで包んだりセメントモルタルをかけるなどの埋設処理が行われた。
 
・有害な化学物質による環境汚染を防止するために、"化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律"(以下"化審法")が1973年に制定された。
 この法律は、化学物質の製造・輸入事業者は事前に分解性、蓄積性、人毒性、生態毒性などのデータの提出が義務づけられ、国が審査を行い、その結果に応じて、製造、輸入、使用等について必要な規制を行うことを定めている。
 これに基づいて、1980年代には、農薬以外の用途を含めたPOPsの製造・輸入・使用が事実上禁止された。
 
※参考サイト
POPs農薬対策 - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

POPs条約

・POPsは、環境中に放出されると、偏西風やグラスホッパー現象(蒸発と凝結を繰り返し、徐々に極域へ移動する現象)などを通じて、国境を移動すると考えられる。
 このため、これまでにPOPsを製造したり、使用したことがない極域に生息するアザラシなどからPOPsが検出されている。
 このようなPOPsの地球規模での移動と汚染を防ぐため、2001年に採択されたのがPOPs条約(2004年5月発効)。
 
・POPs条約とは、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs)の、製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している条約。
 
※参考サイト
POPs農薬対策 - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

 

●各国がとるべき対策
 
・アルドリン、PCBなどの19物質(PCN、HCBD、PCPを加えると22物質)は、製造・使用・輸出入を原則禁止。
 
・DDTなどの2物質は、マラリア予防(DDT)、工業製品製造(PFOS等)など特定の目的・用途での製造・使用に制限。
 
・意図せず生成してしまうダイオキシン類などの5物質(PCNを加えると6物質)はできる
限り廃絶することを目標として削減。
 
・POPsを含むストックパイル(在庫)や廃棄物の適正管理及び処理。
 
・上記項目のPOPs対策に関する国内実施計画の策定。
 
・条約に記載されている23物質と同様の性質を持つ他の有機汚染物質の製造や使用を予防するための措置、POPsに関する調査研究・モニタリング・情報提供・教育、及び途上国に対する技術・資金援助の実施など。
 
※参考サイト
環境省_POPs パンフレット

POPs農薬無害化処理技術の概要

・POPs廃農薬が確実に分解され、かつ、ダイオキシン類の排出が基準値以下である技術として、環境省は"POPs廃農薬の処理に関する技術的留意事項"(2004年10月)において、次の8つを示した。POPs廃農薬は、このいずれかの技術で処理しなければならないことになっている。
 焼却、BCD法(アルカリ触媒分解法)、金属ナトリウム分散体法、水熱分解法、、超臨界水酸化法、、メカノケミカル法、ジオメルト法、真空加熱法
 
・8つの技術のうち、真空加熱法以外は、廃棄物処理法施行規則において廃PCB等の分解施設に用いられる方式としても定められている。
 
※参考サイト
POPs農薬対策 - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

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