上下水道管の漏水、メンテナンスの情報についてメモ書きしています。
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
水道管の破裂、漏水
・幹線道路だけに絞っても全国で毎年6000~1万件程度起こっている。 ・公道下の水道管(配水管)から分岐して各戸に給水する給水管回りからの漏水事故は、全国で年間だいたい30万件程度発生している。 ●サンドブラスト現象と漏水 ・水道管では加圧して送っているため、水道管についたわずかな傷からでも水が噴出す。 →これが管周辺の土粒子を巻き込みながら管体の傷を徐々に広げ、大きな漏水にいたることがある。 ・強度が比較的弱い硬質塩化ビニル管で起きることが多い。 ※参考資料『玉真俊彦(2011)管があぶない ぎょうせい』
○漏水量 ・浄水場から各家庭に給水される間に漏水する率は全国平均7%。 ○漏水の要因と発生箇所 ・水道管の劣化、地震や地盤沈下、施工または管材料の不良、土壌による腐食、他工事による損傷、異常な水圧など様々な要因がある。 ○漏水対策 ・老朽化した配水管は、強度が高く、耐震性に優れ、かつ内面の腐食を防止するライニングがされているダクタイル鋳鉄管へ計画的に交換する。 ・給水管は、脆弱な鉛管から強度に優れるステンレス管やダクタイル鋳鉄管に交換する。 ※参考資料『長澤靖之(2012)上下水道が一番わかる 技術評論社』
道路の陥没事故
・下水管の破損した箇所や接合部から地下水や地表からの雨水が土砂と共に下水管に流入または逆に下水が地中に流れ出し、水道(みずみち)をつくり大きな空洞が発生する。 ※参考資料『長澤靖之(2012)上下水道が一番わかる 技術評論社』
・全国で毎年4000~6000件程度発生している。 ・埋設後30年以上が経過した管で増える傾向にある。 ・道路陥没は、道路交通量の増加により管にかかる荷重が増えたり、管材の劣化等によって管が破損し、そこから土砂が混ざった地下水が管内に流入したりすることで、道路の舗装面下に空洞が出来ることによって発生する。 ●地下水の下水道管への流入 ・管とマンホールの接合部や管同士の継手が老朽化によってずれたり外れたり、隙間ができたり、管にひびやクラックが入ったりすると、そこから地下水が流入する。 ・地下水は、周辺の土砂を巻き込みながら下水道管に入ってくるので、土砂が管内に堆積することで下水道管を閉塞させる場合がある。 それにつれて管の周辺の土壌が空洞化するため、道路陥没の原因となったりもする。 ※参考資料『玉真俊彦(2011)管があぶない ぎょうせい』
上下水道管の耐用年数
・減価償却年数を目安にすると、管の種類によって多少前後するが、水道管が40年、下水道管が50年とされている。 ・管の材質や継手・接合部の構造、管径、管を腐食させやすい土壌、路上の交通から受ける過重、管内を流れる水道水や下水の性状、水道水により管が受ける内圧とその変動といった条件によって実際の耐用年数は大きく変わってくる。 ・ダクタイル鉄管協会では、水道用高機能ダクタイル鉄管の法廷耐用年数を60年とするよう提言している。 ・塩化ビニル管・継手協会では、実際に埋設・使用されている水道用硬質塩化ビニル管のサンプルを採取し、長期的な寿命を予測した結果、耐用年数は50年以上と評価している。 ※参考資料『玉真俊彦(2011)管があぶない ぎょうせい』
老朽化の対策、更新
●下水道管の老朽化 ○老朽化の対策 ・下水管の破損、ひび割れ、たるみなどを早期発見するため目視やテレビカメラで管内調査を行い、危険度の高いところから計画的に更新する。 ○改築 ①反転工法 ・既設管内面に硬化性樹脂を含浸させた材料を、温水または空気圧で加圧反転しながら挿入して、加圧状態で熱または光の照射により樹脂を硬化させて新しい管を形成する。 ②製管工法 ・既設管内に帯状の塩化ビニールポリファイルを製管機によりスパイラル状に製管しながら挿入し、既設管との隙間にモルタルなどを充填硬化させて一体化させる。 ※参考資料『長澤靖之(2012)上下水道が一番わかる 技術評論社』
●更新の難しさ ・水道管の更新には膨大な資金を必要とするが、現在の水道事業体の内部留保金や積立金等の自己資金は潤沢な水準ではない。 ・足りない分は起債により借金をすることになるが、人口そのものの減少や1人当たりの水道水の使用量が減る傾向にあるなかで、料金値上げを伴わない多額の借金は将来の返済が困難となる。 ・水道管の頻繁な破裂や断水等よほど目だった事件がないかぎり、水道管の更新を理由とする値上げにはなかなか理解が得られない。 ○節水の影響 ・水の使用量が減ると、水道管、下水道管ともに"稼働率"が下がり、単位延長あたりの料金収入が減るため、上下水道管の建設に投下した資金を料金収入で回収することが難しくなる。 ・水道管内に水道水が滞留する時間が長くなるため、残留塩素濃度が減って塩素による消毒効果が薄れたり、水道水中の有機物と塩素が反応してトリハロメタンが生成したりする恐れがある。 ※参考資料『玉真俊彦(2011)管があぶない ぎょうせい』
●管渠の更生 ・既設管内に新管または既設管と一体となって土圧などの外力に抵抗できる構造の管を構築するもの。 ○更生された管渠の構造形式 ①自立管 ・更生材単独で自立できる強度を持ち、新設管と同等以上の耐荷能力及び耐久性がある。 ②二層構造管 ・既設管と更生管がともに土圧などの荷重負担する。 ③複合管 ・既設管とその内側の更生材が一体となって外力に抵抗し、新設管と同等以上の耐荷能力及び耐久性がある。 ○更生方法の種類 ①反転工法 ・熱または光などで硬化する樹脂を含浸させた材料を既設のマンホールから既設管渠内に反転加圧させながら挿入し、既設管渠内で加圧状態のまま樹脂が硬化することで管を構築する。 ②形成工法 ・熱硬化性樹脂を含浸させたライナーや熱可塑性樹脂ライナーを既設管渠内に引き込み、水圧または空気圧などで拡張・密着させた後に硬化させることで管を構築する。 ③製管工法 ・既設管渠内に硬質塩化ビニル材をスパイラル状にかん合させながら製管し、既設管渠との間隙に裏込材を充填することで管を構築する。 ④さや管工法 ・既設管渠より小さな管径で製作された新管をけん引挿入し、間隙に充填材を注入することで管を構築する。 ※参考資料『高堂彰二(2012)トコトンやさしい下水道の本 日刊工業新聞社』
下水道の耐震化
●下水道の耐震化 ○特徴的な被害 ・管継手部のズレ、たるみ、管の破損、取付管の抜け、取付け部の破損・刺さり込みなど。 ・マンホールについては、躯体のズレ、突出、土砂の堆積および管とマンホールの接続部の破損などがある。 ・被害は下水管の9割、マンホールの7割が液状化が原因。 ○下水管の耐震対策 ・埋め戻し土の締固め ・砕石による埋め戻し ・埋め戻し土の固化 ○マンホールの耐震対策 ・重量化 マンホールが液状化で浮上しないようにマンホール内外に重しを付ける。 ・過剰間隙水圧抑制 過剰間隙水を集水管などにより排除して、液状化を防止する。 ・アンカー 非液状化層に根入れしたアンカーにより浮き上がりを止める。 ・下水管とマンホールの接続部の突出し・ズレおよび破損を防ぐためにフレキシブルな構造にする。 ※参考資料『長澤靖之(2012)上下水道が一番わかる 技術評論社』
●マンホール ・管渠の起点や勾配・管径の変化する箇所、段差の生じる箇所、管渠の合流する箇所に設ける。 ・分流式の汚水マンホールの蓋については、雨水の侵入を防ぐために密閉式とする。 ○液状化対策 ・マンホールを新しくつくるときには、マンホール周辺を締め固めて固化する。 ・マンホールの重量を増す。 ・非液状化層へアンカーを定着する。 ・過剰間隙水圧消散 地盤に発生した地下水をマンホール内に排水し、間隙水圧を消散させることで、マンホール浮上を防止する。 ※参考資料『高堂彰二(2012)トコトンやさしい下水道の本 日刊工業新聞社』