環境保護の情報メモ

ブロイラーのアニマルウェルフェア

ブロイラーのアニマルウェルフェア向上のための管理方法についてメモ書きしています。
※参考資料
公益社団法人 畜産技術協会:アニマルウェルフェア
 
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動物福祉上の問題点

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 防疫措置と衛生管理
  2. ブロイラーの健康管理
  3. 温度環境
  4. 照明
  5. 空気の質
  6. 騒音
  7. 栄養(飼料、水)
  8. 床、寝床及び敷料の質
  9. 羽つつき及びカニバリズム(共食い)の予防
  10. 飼養密度
  11. 捕食者からの保護
  12. 農場における捕鳥
  13. 正常行動等の発現を促すための工夫
防疫措置と衛生管理

・鶏舎の出入口に置く消毒槽は定期的な交換が必要。

ブロイラーの健康管理

・自立できず、飲水も摂食もできず、回復が見込めないと判断した場合には、安楽殺(頸椎脱臼)することも必要となる。

温度環境

・極度の暑熱、寒冷及び湿度を防ぐ。
 鶏にとって暑すぎる場合は、飼料摂取量の減少、パンティング、羽翼を広げる動作等が見られ、逆に、寒すぎる場合は、群がり、飼料摂取量の増加、羽毛の逆立ち、硬直、震え等の行動が見られる。
 
・ブロイラーへの悪影響を緩和するために様々な生産システムにおいて、細霧装置の使用や、風速の増加、クーリングパッドによる気化冷却、飼育密度の低減などの措置を取る必要がある。

照明

・明期は、ブロイラーが活発に行動できるよう、また管理者が観察を適切に行えるよう、十分かつ均一な明るさの連続した明期を設定する。
 
・入雛後の数日間は餌と水を見つけ、活動を刺激するため、連続した明期にすることが一般的。
 
・照明や自然光等により鶏舎内に明暗が生じる場合、鶏が1カ所に密集したり、羽つつきの原因になったりすることもあるので、注意が必要。
 
・一定時間の暗期を設けることは、鶏の休息やストレス低減、脚の健康強化等のために必要とされており、突然の停電時のパニックの防止に有益であるとともに、飼料効率や育成率の改善にも効果があることが知られている。

空気の質

・鶏舎内の二酸化炭素やアンモニア、埃や余分な湿度を排出し、いつも新鮮な空気を提供するために、適切な換気が必要。
 アンモニア濃度はブロイラーの高さで常に25ppmを超えないように注意するとともに、埃のレベルを最小限に抑えるため、換気だけでなく、適度な敷料の湿り気を維持することが有効。
 換気不良でガスや埃、微生物濃度が高くなると呼吸器疾患の要因となるだけでなく、目の結膜炎や失明等にもつながる。

騒音

・ブロイラーは、異なるタイプやレベルの騒音に順応性がある。しかし、ストレス及び恐怖反応を防ぐために、突然あるいは大きな騒音の暴露は可能な限り最小限にする必要がある(例えば、杭打ち)。
 換気扇や給餌器または他の屋内・屋外の装置の製造、設置、作動またはメンテナンスにおいては、最低限の騒音レベルになるよう配慮する。

栄養(飼料、水)

・ブロイラーの健康状態の維持や正常な発育等を促すため、発育段階に応じた適切な飼料(必要栄養量)と新鮮な水を自由に摂取できるように、給餌器および給水器の数や幅を十分に確保し、不要な闘争が起こらないようにすることが重要。
 
・給水装置は有害微生物の増殖を防ぐために月に1回など定期的な洗浄が必要。
 
・若齢雛については、状況に応じて給餌器や給水器を増設するなどの対策も必要。

床、寝床及び敷料の質

・鶏舎の床はなるべく容易に洗浄と消毒を行うことができるつくりで、砂浴び及び採食を促すために、ほぐれて適度に乾燥した敷料を使用することが理想的。
 
・敷料の質の悪化は、趾蹠(足裏)、膝節及び胸の接触性皮膚炎を引き起こす可能性がある。
 
・敷料は、ブロイラーが基礎床に直接触れないだけの十分な深さを保ち、汚染のない材質(例えば、木くず、わら、細断された紙、処理された使用済み敷料など)を使用することが必要。
 敷料の質の悪化は、給水器の漏れ、給餌器の不適切な組み立て、伝染病の侵入、換気不良、過密飼育等によって引き起こされることが多いので注意が必要。
 
・次に導入する鶏群の病気を予防するため、敷料を交換または適切に処理することが必要。

羽つつき及びカニバリズム(共食い)の予防

・ブロイラーは、羽つつき及びカニバリズムをほとんど行わないが、まれに高照度、栄養不足などの場合にカニバリズムを起こすことがある。
 一度発生すると連鎖的に発生するので、標的となりそうな衰弱したブロイラーや損傷し回復の見込みのないブロイラーは淘汰を検討する必要がある。
 また、カニバリズムが発生した場合は、被害にあい死亡したブロイラーはすぐに取り除き、照度の低減や栄養改善などの対策を講じることが重要。

飼養密度

・ブロイラーは餌と水に常時アクセスでき、姿勢を正常に保てる適切な飼育密度で飼育することが重要。
 
・飼養スペースが過密な場合は、床面付近の温度上昇により、パンティング(口を開けての呼吸)の頻度が増し、生産性が悪化することが知られている。
 
・生体重及び鶏舎内の飼育領域の面積から算出し、生体重2.5㎏で坪当たり55~60羽が目安。

捕食者からの保護

・ブロイラーを常に健康な状態で飼養し、恐怖などのストレスを与えないため、鶏舎内に捕食者が侵入しないように、排水口や換気扇を網でふさぐなどの対処が求められる。

農場における捕鳥

・捕鳥は熟練した動物取扱者によって薄暗がりあるいは青色光の下で行ない、ブロイラーのストレス、恐怖反応及び損傷を最小限にすると、作業がしやすくなる。
 
・輸送用コンテナにブロイラーを入れる際は、体または翼の付け根をもつことで暴れも少なく、内出血などによる廃棄の減少が見込める。首または翼の先をもって持ち上げないように注意することが必要。
 また、輸送用コンテナの両端を2人で持ち水平を保って移動することによっても、廃棄の減少等の効果が見込める。
 
・捕鳥は処理までの時間及び捕鳥、輸送及び保管中の気候上のストレスを最小限にするように計画的に行う。
 
・出荷に不適合なブロイラーの安楽殺を検討することも必要。

正常行動等の発現を促すための工夫

・ブロイラーの正常行動として、砂浴び行動、つつき行動や止まり木とまり行動等があり、ブロイラーの中に強い行動欲求があることが知られている。
 
・敷料をある程度乾燥させ、砂浴び行動を促進させる。
 
・つつき行動の対象が他の個体になると、異常行動であるカニバリズムに発展する可能性がある。つつく対象として乾草やボール様のものを設置することでブロイラーにとって欲求の強いつつき行動を増加させることができ、AW向上の効果があると考えられる。
 
・止まり木を設置することで、ブロイラーにとって欲求の強い止まり木止まり行動が発現しやすくなるため、AWの向上に効果があると考えられる。
 また、給餌器のレールにブロイラーが止まり、給餌器の中に糞が混入することを防止するなどの効果も期待できる。

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