乳用牛の基本情報

・牛は、もともとヨーロッパ南部からアフリカ北部、東南アジアにかけて生息していた”オーロックス（原牛）”が、約9000年前に家畜化されたもの。
　
・草食動物の牛は４つの胃を持ち、一度飲み込んだ食べ物を胃から口に戻してふたたび噛む、反芻動物。
　
・第一胃はルーメンと呼ばれ、細菌をはじめとした様々な微生物が生息しており、これらの活動により牛自身では消化できない植物の繊維質が発酵・分解される。

・雌牛から、牛乳やバター、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品を生産するための”生乳（せいにゅう）”を搾乳。
・経産牛（子供を産んだことがある牛)１頭当たり年間約8,000㎏(昭和40年約4,300㎏）の生乳を生産。
・平均搾乳期間は360日程度。

●ホルスタイン種
　
・典型的な乳用牛であり、日本で飼養されている乳用牛の99％以上がホルスタイン種。
・数は約150万頭。
　
●ジャージー種
　
・日本ではホルスタイン種の次に頭数が多く、その数は約１万頭。
・ホルスタイン種に比べ乳量は少ないが、乳脂率が高いという特徴がある。
・主に岡山県の蒜山高原などで飼養されている。
　
●ブラウンスイス種
　
・日本ではホルスタイン種、ジャージー種の次に頭数が多く、その数は１千頭強。
・ホルスタイン種に比べ乳量は少ないが、乳タンパク率が高くてチーズ加工に適している。
・足腰が強く放牧に向いている。
・主に北海道、九州などで飼養されている。

・乳量や乳質の低下などで生産性が下がると乳牛としての役割を終え、日本の乳牛の多くは6～7歳で食用にされる。
　
①出生
・生まれたばかりの乳牛の子牛には、数日間、初乳という免疫抗体を含む母乳の乳が与えられる。
　
②～離乳
・生乳や脱脂粉乳などを使った代用乳と穀類や大豆粕、カルシウムなどを粉やペレット状にした離乳期用の飼料を併用し、40日間ほど哺育。
　
③離乳後
・ルーメン（第一胃）を発達させるため、やわらかい乾草を食べさせ、補助的に配合飼料を与える。
　
④交配
・8～9ヶ月齢で最初の発情を迎え、18ヶ月齢前後で人工授精により交配させる。
・乳用種でも生乳を出すには妊娠・出産が必要。
　
⑤妊娠期間
・人間とほぼ同じで280日ほど。
　
⑥泌乳期
・出産すると乳を出す泌乳期に入り、数週間で乳量はピークに達し、1日2回程度の搾乳で40kg台になる。
・10ヶ月ほど搾乳しながら、その間に次の出産に向けて人工授精を行う。
・出産前の2ヶ月間は乾乳期となり、次産後の搾乳に向け乳腺組織や母体の体力を回復させるため、乳を搾らない。