有機農業の雑草管理に関する基礎知識についてメモ書きしています。
※雑草防除については以下の記事も参照。
雑草防除の概要
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雑草の管理
・雑草は作物と競合し、作物の生産力に大きな影響を与える。 ・作物の生長以外の時期では、雑草のプラスの効果がある。土の表面を保護し、土に有機物を与え、根からの分泌物で土の生物活性を刺激する。 ・一般的には、バランスを失った土、たとえば腐植が少なかったり耕し方が悪い場合では、雑草はたやすく広がっていく。 ・有機農業への転換期の間は、このバランスを欠いた状態になる。長い間かけて除草剤によって抵抗性ができて防除の難しい雑草を茂らせてきた面がある。 ※参考資料『カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(1997)有機農業の基本技術 八坂書房』
予防的手段
・出足の早い作物品種を用いる。 雑草の競合に勝ち残る。茎葉の中に光をよく通す品種は雑草とうまく共生していける。 ・雑草種子の拡散源を抑える。 有機物(厩肥、ワラなど)は雑草種子の源泉。堆肥をつくるときの発熱が順調にいくと、雑草種子の発芽力が失われることが多い。雑草が登熟するまでに雑草を取り除く(次年度の問題の悪化を避ける)。 ・雑草の生長を許すような耕し方を減らす。 深耕、過度の均平作業など。 ・"だまし蒔き"をする。 まず地表を軽く耕し雑草種子を発芽させ、その後、種子を蒔く前にハローをかけるか、熱処理機を用いて雑草の芽を殺す。 ・ワラを敷くなど、マルチを行う。 多年生作物の栽培に用いられる方法だが、厳しい気象条件から地表を守り、とくに乾燥期に土の水分を保持してくれる。 ・太陽熱利用による除草。 透明なプラスチックシートを利用するが、とくに転換期に向いている。 ※参考資料『カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(1997)有機農業の基本技術 八坂書房』
除草の技術
●中耕除草、ハロー(砕土機)かけ ・中耕除草は、土の生物活動を刺激し水分の蒸発を抑えるので、灌水も減らせる。 ●熱処理による除草 ・中耕除草を補うもので、いろいろな方法がある。 ○蒸気 ・移動型の蒸気発生器で過熱水蒸気(180度)を発生させる。 蒸気は一瞬にして地表温度を高め、数センチの深さまで殺菌する。地中の微生物に大きな害のないように、すばやく移動していく。 ・この方法はデリケートで、土のごく表層に住む微生物をほとんど殺してしまう。 ○赤外線 ・赤外線を1秒間だけ土にあてる。 800℃の熱が放射される。この熱は雑草細胞を膨張、破裂させる。 ・水分含量が95%ぐらいの若い細胞に効果がある。 ○プロパンガス ・プロパンガスを燃焼させ、直接炎を放射する。 細胞段階で70℃の温度が得られる。細胞を焼く事によりたんぱく質が凝固し、その数時間後に雑草の衰弱が起こる。 ・効果は雑草の生長段階によって変わる。 子葉が出た頃の幼植物では効果が高いが、これも種類によって異なる。 ※参考資料『カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(1997)有機農業の基本技術 八坂書房』