牛肉のおいしさ評価、改良

牛肉のおいしさ評価、改良に対する取り組みなどの情報をメモ書きしています。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. “おいしさ”評価の取り組み
  2. “おいしさ”についての評価
  3. 牛肉の味
  4. 牛肉の香り
  5. 牛肉の食感
  6. 改良の取り組み
“おいしさ”評価の取り組み

・消費者を対象とした官能評価を行うなど、牛肉中の成分との関係から、”おいしさ”に関する評価指標を検討中。
 
・脂肪酸組成や肉の締まり・きめ等、肉の”おいしさ”評価に関する科学的知見の蓄積に努め、”おいしさ”に関する成分含有量等の指標化に向けた検討を行っている。

“おいしさ”についての評価

・一価不飽和脂肪酸(MUFA)であるオレイン酸などの脂肪酸組成を迅速に評価できる近赤外線型脂質評価装置が開発され、いくつかの県ではオレイン酸を一定割合以上含む牛肉をブランド化。
 
※オレイン酸とは?
牛肉の脂肪中に含まれる主要な脂肪酸でこの割合が高いと脂肪の融点が低くなり、口触りが滑らかで口溶けがよいほか、風味にも影響するとされる
 
・全国肉用牛振興基金協会は、全国統一した牛肉の”脂肪の質”評価基準の標準化を図るため、枝肉市場における脂肪サンプルの収集、分析を実施。

牛肉の味

・うま味ををもたらす成分は、グルタミン酸を中心にした遊離アミノ酸類と核酸関連物質のイノシン酸。
 
・グルタミン酸とイノシン酸はそれぞれ単独でうま味を有し、かつ、両者の混合の相乗作用でうま味を何倍にも強く発現する。
 
・遊離アミノ酸は、と畜後の熟成で増加していく。
 
※参考資料『広岡博之(2013)ウシの科学 朝倉書店』

牛肉の香り

・和牛肉にはコクのある脂の甘い香り(和牛香)があり、おいしさの一要因。
・牛肉の香り、臭いは脂肪酸組成と関連。
 

・食品の香りには、食品を鼻先で嗅いでわかる鼻先香と、食品を口に入れてから喉を伝って鼻へ抜けてくる口中香がある。
 和牛肉の"甘い味"は、実際は口中香であり、"和牛香"という名称を持つ。
 この香りを構成する成分では、ラクトン類が甘さに、アルデヒド類やケトン類が脂っぽさに寄与すると推定されている。
 
※参考資料『広岡博之(2013)ウシの科学 朝倉書店』

牛肉の食感

・肉の食感は筋線維の大きさ、品種、脂肪交雑により違いがあり、においや味とともにおいしさに影響する。
 
・不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸に比べて融点が低いことから、不飽和脂肪酸の割合が高いと脂肪融点が低くなり、口どけが良い。

・軟らかさは、筋肉を構成する筋原繊維のアクチン、ミオシン、Z線などの構造体による硬さと、筋原繊維を中に抱えた筋線維を束ねて支える結合組織のコラーゲンの膜による硬さによって決まる。
 死後硬直により硬さが増大し、その後、熟成中の解硬によって軟らかくなる。
 
・牛肉の多汁性(ジューシーさ)は、牛肉の保水性(おもに筋肉タンパク質が水分を保持する能力)に関係している。
 
・口ざわりのなめらかさは、保水性を決める筋肉タンパク質の変性程度によって決まる。脂肪交雑も口ざわりのなめらかさに寄与すると考えられる。
 
※参考資料『広岡博之(2013)ウシの科学 朝倉書店』

改良の取り組み

●おいしさを考慮した種雄牛造成
 
・後代検定調査牛を対象に”おいしさ”に係る成分分析等を実施。その分析結果と種雄牛間差について分析を実施。

●ビタミンAと脂肪交雑
 
・基本的に脂肪交雑の高い牛肉を生産するには、育成期に牧乾草と濃厚飼料給与の組合せにより、第一胃をできるだけ発達させ、出荷までにより多くの穀物飼料を摂取させることが重要となる。
 しかし、肥育時期に穀物飼料を多給するだけでは筋肉に40%以上の脂肪を蓄積させた牛肉を生産することは難しい。
 
・ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種で、第一胃では合成されないため、飼料として摂取が必要な栄養素。
 ビタミンAには、脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化を抑制する作用があり、肥育中期にビタミンAを低く維持すると脂肪交雑が増加する。
 しかし、ビタミンAの血中レベルが過度に低くなると、欠乏症が発生する。ビタミンAが欠乏すると、上皮組織の角質化、免疫機能の低下、肺炎、下痢、食欲不振、摂食量の低下、夜盲症、失明、繁殖障害、関節や胸部の浮腫など、様々な負の症状が現れる。
 
※参考資料『広岡博之(2013)ウシの科学 朝倉書店』

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