ブタの飼料と栄養についてメモ書きしています。
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配合飼料
・大豆粕などのタンパク質を多く含む原料は価格が高く、貴重なタンパク資源の有効利用の観点から、できるだけその配合割合を減らしたい。 ○低タンパク質アミノ酸添加飼料 ・欠乏する必須アミノ酸はないものの、低タンパク質化によって飼料全体のアミノ酸含量は少なくなる。 ・生産性(成長)を低下させることなく窒素排泄量を低減させ、環境への窒素汚染低減、温室効果ガス(一酸化二窒素)発生抑制に貢献できる。 ・現在では飼料添加物としてのアミノ酸が比較的安価に入手できるようになっていることから、一般慣行飼料よりも価格面で優位性がある。 ※参考資料『鈴木啓一(2014)ブタの科学 朝倉書店』
自家配合飼料
○飼料用米 ・ブタによる栄養素の消化率がトウモロコシよりも高いが、タンパク質含量が低い。 ・飼料用米の配合割合が多い場合にはビタミン、ミネラルも欠乏する可能性がある。 ※参考資料『鈴木啓一(2014)ブタの科学 朝倉書店』
栄養
●カルシウム、リン ・カルシウムとリンは骨の主成分として重要で、それ以外にも様々な代謝系に関与している。 ・カルシウム、リンが欠乏すると、子豚ではくる病、授乳豚では骨軟症が発症する。 ・一般に植物飼料原料中にはカルシウム、リンは十分量含まれていないため、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど、無機態のカルシウム、リンを飼料に添加する。 ・植物飼料原料中のリンは70~80%がフィチン態という分解されにくい貯蔵形態で存在する。 ブタはこれをほとんど利用できないため、多くは糞中に排泄される。このことは飼料中のリンが無駄になるだけでなく、リンによる環境汚染につながる。 →近年、このフィチンを分解する酵素であるフィターゼを利用する技術が開発され、実用化されている。 ●鉄 ・鉄は酸素や二酸化炭素のガス交換、エネルギー代謝などに関与している。 ・子豚は成長速度が速いため、鉄欠乏を起こしやすく、通常、生後3日以内に筋肉内注射を行うなどする。 ●亜鉛 ・亜鉛はインスリンや多くの酵素、転写因子に含まれており、炭水化物、タンパク質、糖質代謝に関わっている。 ・亜鉛の多量給与で子豚の下痢防止、成長の促進が示されているが、環境汚染の観点からすると好ましいものではない。 ●銅 ・銅を過剰に添加すると子豚の成長が促進されることから、子豚飼料に銅が添加されている。 ●クロム ・肥育豚にクロムを多く給与すると赤肉量が増え、背脂肪厚が低下することが報告されている。 ※参考資料『鈴木啓一(2014)ブタの科学 朝倉書店』