合併処理浄化槽の概要

合併処理浄化槽についてメモ書きしています。
 
※参考サイト
合併処理浄化槽 – 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

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  1. 合併処理浄化槽の概要
  2. 合併処理浄化槽の経緯
  3. 合併処理浄化槽の特長
  4. 処理の仕組み
  5. 合併処理浄化槽の種類
合併処理浄化槽の概要

・合併処理浄化槽とは、主として住宅から排出されるし尿と、台所、洗濯所、洗面所、風呂場などからの生活排水を、各戸毎に処理し、排水基準以下まで浄化してから放流する設備。
 
・性能は、BOD除去率90%、処理水質BOD20mg/l以下で(窒素、リン除去に対応した高度処理型もある)、下水道と同等の性能を有している。
 
・浄化槽の清掃後に搬出される汚泥(浄化槽汚泥)は、し尿処理施設(最近では”汚泥再生処理センター”という)で処理し、処理後の脱水汚泥は、堆肥などとしてリサイクル、または適正に処分されることになる。
 
・水環境保全上重要な施設であることから、設置に対する国、都道府県、市町村による助成制度がある。

合併処理浄化槽の経緯

○単独処理浄化槽
・トイレを水洗化するために、し尿のみを処理。
・水環境への汚濁負荷の高い他の生活排水は未処理のまま放流され、また、浄化槽自体の性能も良くなかった。
 
○合併処理浄化槽
・国、都道府県、多くの市町村は、住民が合併処理浄化槽を新設する場合に、その設置費用の一部を助成する制度を創設し、普及を図ってきた。
・浄化槽法が改正、施行され、平成13年4月1日からは単独処理浄化槽の設置が原則禁止されている。

合併処理浄化槽の特長

・合併処理浄化槽は、生活排水を少量ごとにその場で処理し、排出することから、排出後の水路等においても大きな水量の変化を与えない。
 
・その場で処理することで、搬出を必要とする有機物質等の絶対量を減量化できる。
 
・排水管網を必要とする他の処理施設は、人口の少ない市町村で整備すると人口1人当たりの整備費用が高くなるが、合併処理浄化槽はそうした影響をほとんど受けず、効率的な整備が可能。
 
・設置のためのスペースは、自動車1台分程度の広さ(の地下)であり、敷地の限られる大都市中心部を除けば、設置場所や地形・地質による影響を受けにくい。
 
・個別分散型施設であるため、家屋の減少等の処理対象人口の減少などの変動に対応し、適正規模の整備が可能である。

処理の仕組み

・合併処理浄化槽の処理は、微生物による生物処理が主であり、他の下水道などの排水処理と同様の原理で下記浄化槽を利用して処理が進む。
 
・構造の例としては、汚水中の浮遊物・固形物を沈殿させるとともに、以下の槽などからなる。
 嫌気槽:嫌気性微生物により有機物の一部を分解
 好気槽:送風器で空気を送り込み、接触材に付着した好気性微生物により大部分の有機物を分解する
 処理水槽:処理水中に含まれる汚泥と上澄み液を分離。
 
・本体はFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などを使用して、工場で一体的に製造され、各戸の庭先などに埋設される。浄化した放流水は側溝や河川などに放流される。
 
①嫌気槽
 
・嫌気槽では、通常、排水中の浮遊物・固形物を沈殿させ分離するとともに、嫌気性微生物(酸素を嫌う微生物)により、一部の排水中の汚濁物質(有機質)を分解する。
・メーカーにより異なるが、様々な形状のろ材に微生物を付着させ、処理効果を高めている。
 
②好気槽
 
・好気槽は、処理の主体である生物処理を行う装置。
・外部に設置した送風器(ブロワ)から、槽の底部に細かい気泡状の空気を送り込み、接触材の表面に付着した好気性微生物(酸素を好む微生物)の膜により、排水中の大部分の汚濁物質(有機質)を分解する。
 
③処理水槽(沈殿槽)
 
・好気槽の処理水から増殖した微生物などからなる汚泥を沈殿・分離する。
・分離後の上澄み液は、合併処理浄化槽の性能に応じて浄化された水質となっている。
 その後、小規模な消毒槽で固形の消毒剤と接触させ、殺菌した上で放流する。
 ポンプを使って処理槽の底に貯まった汚泥の一部を嫌気槽に循環させ、有機質(BOD成分)だけでなく、湖沼等の富栄養化の原因となる窒素分も除去するタイプもある。(高度処理型合併処理浄化槽)

合併処理浄化槽の種類

・処理方式では、”嫌気ろ床接触ばっ気方式”がもっとも普及しているが、この他、例えば”好気槽”の接触材の替わりに”生物ろ過槽”を設置し、処理効率を上げて全体の容量をコンパクトにした”生物ろ過方式”などがある。
 
・浄化槽の規模は、処理対象人員を想定した”人槽”という単位で区分されており、最も小さい”5人槽”をはじめ、住宅の大きさ等にあわせて”7人槽”、”10人槽”などと大きさが決められる。

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