有機農業の基礎知識(堆肥、緑肥、土作り)

有機農業の堆肥、緑肥、耕し方など土作りに関する基礎知識についてメモ書きしています。

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  1. 団粒構造の土壌
  2. 堆肥作り
  3. 地表での堆肥化とマルチング
  4. 緑肥
  5. 鉱物質の肥料、土壌改良剤
  6. 土の耕し方
  7. 土壌の診断項目
  8. 土壌診断(土壌の特性)
  9. 土壌診断(土壌の酸性・アルカリ性)
  10. 土壌診断(土壌の塩類濃度)
  11. 土壌診断(塩基飽和度と塩基バランス)
堆肥作り

●炭素と窒素の比率
 
・炭素が多いと窒素をブロックし、窒素が多いとアンモニアの形で窒素が逃げる。
・堆積の間にC/N比はしだいに下がり、10~20で安定する。微生物の活動によって炭酸ガスが放出され、これが炭素を減らすことになる。
 
●含むと好ましくないもの
 
・殺虫剤と重金属の残り。家庭ごみに注意。
・樹脂の多いユーカリや針葉樹など芳香性の物質を多く含むもの、ナラやクリのおが屑やバークなどは、細菌による分解が難しく、腐植化には問題がある。
 
●堆肥の効用
 
・腐植を増やす。
・堆肥中に含まれる天然のリン酸塩の多くを可吸態として残してくれる。
・病原菌、害虫、雑草の種子など畑を汚染するものを少なくする大きな役割を果たす。
 
※参考資料『カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(1997)有機農業の基本技術 八坂書房』

 

●堆肥化の目的
 
・有機物の分解過程で生じる、作物に有害な有機酸等を分解し、無害なものとする。
・発酵熱により病原菌や雑草の種子等を死滅させる。
・発酵によって悪臭をなくすと共に、含水率を下げ保存性や取扱い性を良くする。
 
●堆肥化のプロセス
 
①低分子の糖、アミノ酸、脂肪酸などの易分解性有機物が急激に分解。この過程でフェノール化合物などの植物生育阻害物質も分解する。
 
②易分解性有機物が分解されながら、ヘミセルロース、セルロースも徐々に分解。
 
③ヘミセルロース、セルロース、リグニンが分解。
 
※参考資料『有機農業営農ビジョン構築支援事業報告書(2015)有機農業の基礎知識 日本土壌協会』

地表での堆肥化とマルチング

・細切りした生の有機物をそのまま地表に広げる。
 
●地表での堆肥化
 
・野菜の残渣などの材料を薄く広げる。その後、数センチの深さにすき込むか、浅く耕す。
・土と混じって堆肥化が進み、窒素の流亡も防げる。
・病原菌や雑草種子は死なない。
 
●マルチング
 
・有機物によるマルチングはしおれた植物で地表を覆うことで、普通は植物の残渣を用いる。
・太陽と風から土とその表層近くに住む微生物を十分に保護できる厚さに広げる。
・乾燥を防ぎ、冬の寒気と強い雨から土を守る事になる。
・雑草(多年生のものには効き目が薄い)の発芽を抑える。
・土壌浸食を減らす。
・土の中の微生物活動を盛んにし、それによって土の団粒構造を改善する。
・土の湿度を守る。
・昆虫やカビの住処となって、その繁殖を助けることもある。
 
※参考資料『カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(1997)有機農業の基本技術 八坂書房』

緑肥

・深くすきこむと部分的に嫌気性の分解をすることがあり、通気性の悪い土では問題となる。
 
・土壌の可溶性養分、とくに窒素を捕捉し、雨による流亡をおさえてくれる。
 
・土の養分は緑肥の充実した根系によって吸収されるが、すき込むと緑肥の養分は土壌の中で無機化され、さらに有機化されて土に保持される。
・アブラナ科などの緑肥は、土の不可吸態のミネラル、とくにカリウムを可吸態にして返す。
 
・作物の生育に好ましい有機化合物を体内で合成して放出する。これらは作物の抵抗性を高める。ビタミン類、抗生物質、植物ホルモン
・土の微生物活性を盛んにし、微生物に養分を与え、気象的な変動から微生物を守る。
 
・土の中では緑肥は微生物によって分解されるが、この時に粘性物質が多く生じる。しかし、緑肥は安定腐植の形成には役立たない。その組成がリグニン化する前に刈り取られるため。
 
・土の団粒形成に役立つ。
 ライグラスなどいくつかの緑肥の根はよく広がり、たえず土を柔らかくし通気をよくし、土の粒子の結合を促し、団粒構造を作らせる。
 ルーサン、クリムソンクローバーは特に土の軟化を深くまで進める。
 
・すき込み前の緑肥の刈り取りの時期は、イネ科では出穂の少し前、双子葉植物では開花初期がよい。
 それを過ぎると、すき込み後に再生したり、登熟種子がこぼれて次作物の畑に雑草が生えたり、植物体が木化して窒素飢餓を起こしたりする。
 
※参考資料『カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(1997)有機農業の基本技術 八坂書房』

鉱物質の肥料、土壌改良剤

・補助的な土壌改良剤や養分であって、作物と土の間をたえず循環する栄養素の代わりではない。
 
・土壌改良は石灰や酸素などの土の性質を矯正するもので、養分としては土に不可欠な要素を補足し、また不足分を補う。リン酸、カリウム、石灰、マグネシウムなど。
 
・材料は天然物で、物理的な処理(粉砕、ふるい通し)だけをしたものだけが許可される。これは植物によってすぐには吸収されないような溶解度のもの。
 
※参考資料『カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(1997)有機農業の基本技術 八坂書房』

土の耕し方

●基本となる原則
 
・土を反転しないで、ただ軟らかにし通気をよくし、表層を深くすき込まないことが一番よい。さもないと、有機物を薄く広め、腐植と団粒構造を破壊し、土の各層にすむ微生物の活動を妨害する事になる。
 
・収穫の残渣、緑肥など生の有機物を表層に軽くすき込み、好気的な条件化で腐植化をすすめる。
 
・土の硬化を避けるために、畑での重い農機具の走行や重量物の移動を減らす。それは団粒構造を壊し、通気性を弱め、微生物の活動を抑える事になるため。
 
・土が湿っているときに耕すと、土は軟らかくなっているので、機械の重みやタイヤのスリップによって、土の通気を正常に保っている土壌の孔隙が詰まってしまう。
 
●すき込み
 
・収穫直後、ワラや切り株、収穫残渣を砕き、それを表土と混和する作業。
・植物の分解を早め、これらが病原菌や害虫の巣とならないようにする。
・蒸発を減らし、太陽熱による窒素の無機化を抑え、表土の流失も減らす。さらに雑草の種子と作物の種子の両方の発芽を促す。
・土の表層を耕すことでもある。土が十分に乾いているときに行う。
 
●深耕
 
・作物が収穫された後、サブソイラーやチーゼルを使って行う。
・50センチの深さまでの土を軟らかくする。
・土を構成している各層を混和しないようにする。
・通気や排水が悪い土地に適している。
 
●耕起
 
・15~25センチの比較的浅い土層において行う。
 
・生物活性の盛んな表層を下層に埋め込まないように注意する。
 重要な好気性のものは大部分が地表から15センチまでのところに生きており、空気を必要とする。
 逆に深いところにいる嫌気性のものが表層にもってこられると空気に触れて痛めつけられてしまう。
 
・土を踏み固めないようにする。土の有機物が分解するのを妨げてしまう。
 
●整地
 
・播種や定植の前に表土を軟らかくしておくことが不可欠。新根や水の土中への浸透を助け、微生物の発達に必要な通気をよくしてくれる。
 
●除草中耕
 
・除草を必要とする作物のための中耕と土寄せは、土からの水の蒸発を抑える。
・中耕のためにハローをかけると、土の硝化作用と作物による窒素の吸収をうながすことになる。
 
※参考資料『カトリーヌ・ドゥ・シルギューイ(1997)有機農業の基本技術 八坂書房』

団粒構造の土壌

●団粒と団粒構造
 
・土壌粒子同士が結びつき固まりとなったものを団粒と言う。
・団粒同士が結びついた状態を団粒構造という。
 
●団粒構造の形成
 
・団粒構造を形成するには有機物を混入すると良い。
 土壌の団粒構造形成の主役は、有機物分解に関わっている土壌微生物や小動物であることから、団粒構造を維持していくためには、土壌微生物の数が減らないよう有機物を補給していく必要がある。
 
・土壌団粒は主に土壌生物の働きによって形成される。
 油粕など有機物を加えると、それを分解する微生物の働きが活発となり、微生物の菌糸や微生物の出すのり状の分泌物質の接着作用により団粒が形成される。
 
・団粒構造が形成されて土壌の通気性が良くなると、有機物を分解する土壌微生物や小動物が多くなって土壌の団粒構造がさらに発達する。
 
●団粒構造と土壌の特性
 
・団粒構造が発達すると団粒間に孔隙が広がり、この孔隙に液相、気相が形成され、水と空気が通りやすく、かつ必要な水と空気が保てるようになる。
 
※参考資料『有機農業営農ビジョン構築支援事業報告書(2015)有機農業の基礎知識 日本土壌協会』

土壌の診断項目

●土壌の診断項目
 
○土壌の特性把握
・塩基置換容量(CEC)
・リン酸吸収係数
・腐植含量
 
○土壌の酸性・アルカリ性
・pH
 
○土壌の塩類濃度
・電気伝導度(EC)
 
○土壌養分の過不足
・窒素(全窒素、可給態窒素、無機態窒素(アンモニア態窒素、硝酸態窒素))
・有効態リン酸(または可給態リン酸)、
・硫黄
・塩基類(交換性カリウム、交換性マグネシウム、交換性カルシウム)
・微量要素(マンガン、ホウ素等8元素)
 
○塩基飽和度と塩基バランス
・塩基飽和度、石灰飽和度、苦土飽和度、加里飽和度
・苦土/ 加里比、石灰/ 苦土比
 
●土壌診断の必要性
 
・作物の生育との関係で土壌診断をする場合は、根から吸収できる養分の過不足を把握することが重要で、そのためには根からの養分吸収に影響を与える土壌の特性や塩類濃度や塩基バランスなどを診断する必要がある。
 作物に必要な元素が十分土壌に供給されていても、根から吸収される量は、土壌の保肥力(塩基置換容量)、pHの変化、塩基バランスなどによって異なり、過不足が生じる場合がある。
 
※参考資料『有機農業営農ビジョン構築支援事業報告書(2015)有機農業の基礎知識 日本土壌協会』

土壌診断(土壌の特性)

●塩基置換容量(CEC)
 
・土壌がカルシウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、水素などの陽イオンを保持できる最大量を塩基置換容量(CEC)という。保肥力の目安となる指標。
 
・CECは土壌の種類、土性、腐植含量によって異なり、大きい土壌は塩基類を保持する力が大きい。
 
・CECが小さい土壌(砂土等)では、養分過剰の場合、根が濃度障害を受け易いため、一回の施肥量を少なくし、追肥で補給する。
 一方、CECの大きい土壌では根は持続的に養分吸収することができる。
 
●リン酸吸収係数
 
・土壌がリン酸を吸収(固定)する程度を示す数値。
 
・施肥したリン酸はマイナスに荷電していて、その大部分は土壌中でアルミニウム、鉄、カルシウムなどのプラスのイオンと結びつき、水に溶けにくい難溶性のリン酸に変わっているので、作物に吸収されにくくなる。
 また、リン酸は土壌の種類によって施用リン酸の固定化割合が大きく相違することから、リン酸肥料の施用量や肥効の評価に当たっては、リン酸の固定される割合を把握する必要がある。
 
※参考資料『有機農業営農ビジョン構築支援事業報告書(2015)有機農業の基礎知識 日本土壌協会』

土壌診断(土壌の酸性・アルカリ性)

●pH
 
・pHは作物の生育に適したpHがあるとともに、養分吸収、微生物の活性等作物生育に大きな影響を与える。
 
●pHと作物生育との関係
 
①各作物の生育に適したpHがある
・多くの作物は6.0~6.5の微酸性域で生育が良い。
 
②pHによって養分の溶解性が変わり、作物の欠乏症や過剰症が発生する場合がある
・6.0~7.0で多くの養分の溶解性が良好であるが、アルカリ性になるとマンガン、ホウ素などが根から吸収されにくくなり、欠乏症が発生しやすくなる。
・酸性になると作物に有害なアルミニウムなどの溶解性が増し生育に障害を与える。
 
③pHは土壌微生物の活動に大きな影響を与える
・アブラナ科作物で大きな問題となる根こぶ病は酸性域で多発し、ジャガイモで大きな問題となるそうか病はアルカリ域で発病が激しくなる。
 
※参考資料『有機農業営農ビジョン構築支援事業報告書(2015)有機農業の基礎知識 日本土壌協会』

土壌診断(土壌の塩類濃度)

●EC(電気伝導度)
 
・ECは、土壌中の栄養分等の塩類濃度の目安となるもの。
 
・塩類濃度が高いと根からの水分吸収が妨げられ、作物が枯れることもある。
 塩類濃度障害が起こる原因としては、過剰な肥料や堆肥の施用による硝酸イオンやカリ等の蓄積などがあげられる。
 
※参考資料『有機農業営農ビジョン構築支援事業報告書(2015)有機農業の基礎知識 日本土壌協会』

土壌診断(塩基飽和度と塩基バランス)

●塩基飽和度
 
・土壌の塩基置換容量(CEC)の何%が交換性陽イオン(カルシウム、カリウム、マグネシウム)で満たされているかを示したものを塩基飽和度という。
 
・一般的には、塩基飽和度の高い土壌ほどpHが高く、低い土壌ほどpHが低い。
 
・塩基飽和度が100%を超える状態では、土壌に吸着されず土壌養液に溶け出している塩基が多くなるので、EC(電気伝導度)も高まり、塩類濃度障害が出やすくなる。
 
●塩基飽和度と塩基バランスの改善
 
・塩基飽和度が高すぎる場合には、加里、苦土、石灰質肥料を減らしていくことが重要。
・塩基バランスが崩れている場合には、バランスを補正するよう塩基の肥料を施用する。
 
※参考資料『有機農業営農ビジョン構築支援事業報告書(2015)有機農業の基礎知識 日本土壌協会』

「有機農業の基礎知識(堆肥、緑肥、土作り)」への1件のフィードバック

  1. 緑肥(菜の花系)残渣を溝肥(H=400) とし実験中です。窒素N不足が懸念されるので、補給としてkg当たり油粕1ℓ又は鶏糞を0.5ℓ入れてみました。1週間後、ウリ科の苗を植える予定です。
    緑肥麦の場合はうまくいき、目視ですが、上部の小麦が色が濃くなり生育が1割程度良い結果が出ております。

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