除草剤耐性作物と除草剤耐性雑草

除草剤耐性作物と除草剤耐性雑草についての情報をメモ書きしています。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. グリホサート系除草剤(商品名:ラウンドアップ)
  2. グルホシネート系除草剤(商品名:バスタ、リライ、チャレンジ、フィナーレ)
  3. イミダゾリノン系除草剤、クリアフィールド
  4. 除草剤(グリホサート)耐性の雑草
  5. スーパー雑草
グリホサート系除草剤(商品名:ラウンドアップ)

・広域除草剤であり、一年草も多年草も広葉植物も、あらゆる植物を殺す。
 
・雑草に散布されると、ラウンドアップは葉からたちまち吸収される。植物体内を移動し、生長点に蓄積する。
 ラウンドアップの有効成分であるグリホサートが葉緑体に達するとEPSPシンターゼと呼ばれる酵素に結合し、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンの三種のアミノ酸の生成を阻害する。
 これによって植物はタンパク質を作ることができず、細胞膜の形成、ホルモンの合成、エネルギーの輸送もできなくなる。
 
・ラウンドアップは、昆虫、魚、鳥、人間を含む哺乳類には害は無い。いずれもEPSPシンターゼという酵素を持っていないため。
 
・カビや細菌は、EPSPシンターゼを持っているが、グリホサートを迅速に代謝することが可能であり、二酸化炭素とアンモニアに分解する。
 
・グリホサートは作物と雑草のいずれにも効くので、播種前に畑の雑草を一掃できるものの、作物の栽培中には使えなかった。
 
※参考情報『ニーナ・フェドロフ(2013)食卓のメンデル 日本評論社』

グルホシネート系除草剤(商品名:バスタ、リライ、チャレンジ、フィナーレ)

・グルホシネートはラウンドアップと同様に広域除草剤。
 
・天然肥料や合成肥料に含まれる硝酸塩から植物が作り出すグルタミンというアミノ酸の製造を阻害。
 硝酸塩はまずアンモニアに変えられ、グルタミンシンターゼという酵素がアンモニアからグルタミンを作る。
 グルホシネートはこの酵素の機能を阻害する。そのため、植物細胞は有害濃度に達するまでアンモニアを作り続けてしまい、同時にグルタミンが少なすぎるため、植物は炭素を固定できなくなる。
 
・人間や他の動物はグルタミンを作るのにアンモニアを利用しないため、グルホシネートは無害。
 
・キャノーラ、チコリ、トウモロコシ、ワタ、米、大豆、トマト、小麦がグルホシネート耐性に組み替えられた。
 
※参考情報『ニーナ・フェドロフ(2013)食卓のメンデル 日本評論社』

イミダゾリノン系除草剤、クリアフィールド

・イミダゾリノンがアセト乳酸シンターゼ(ALS)に結合すると、ロイシン、イソロイシン、バリンというアミノ酸の生成が阻害される。そして植物はタンパク質合成ができなくなり枯れてしまう。
 
・ALSという酵素は、タンパク質配列の中のアミノ酸たったひとつの変化で生じるため、遺伝子工学なしに作り出すことが可能。
 
・トウモロコシ、キャノーラ、米、小麦など市販されているイミダゾリノン耐性作物は、化学薬品による突然変異と体細胞クローン変異によって作り出されたもの。
 
・イミダゾリノン耐性小麦、クリアフィールド小麦
 ALS酵素に関与する遺伝子を変異させるため、アジ化ナトリウムという化学物質に種子を曝す。この化学物質はDNAを傷つける。
→苗にして、観察、選抜、廃棄
→健康に見える苗に除草剤を散布し、枯れたものは捨て、残ったものを選抜
→改良前のものと比較。
除草剤耐性に関与するひとつの遺伝子以外にどのくらいの量の遺伝子が変化しているかわからない。
 この品種は従来育種で作り出されており、分子的手法での組み換えでないため、遺伝子組み換え食品関連の連邦規則や国際条約に縛られることはない。
 
※参考情報『ニーナ・フェドロフ(2013)食卓のメンデル 日本評論社』

 

●選抜育種によってつくられた除草剤耐性作物
 
・BASF社が開発した"クリアフィールド"というブランドの品種。
 これらの品種は、植物のアセト乳酸シンターゼ(ALS)酵素を不活性化させるような阻害剤(除草剤)に対し感受性がない。
 ALS阻害剤に対する非感受性は、自然界では時を異にして何度か植物にもたらされてきた。そして、それらは常にALS遺伝子の中で生じた様々な突然変異によって引き起こされた。
 
・ALS阻害剤への耐性を作物に導入するために、まず初めに取り組むべきことは、天然の除草剤耐性を持つ野生種を見つけ出すこと。
 もし野生種にそのような形質を持つ突然変異個体が存在し、その個体が既存の作物と交配可能であれば、次に、育種を繰り返して、天然の除草性耐性形質を商業用品種に取り込む(この過程で、野生種に含まれる様々な形質の内、望ましくない形質は取り除いていく)。
 
・一方、交配可能な個体の中に目的の形質を持つ突然変異個体が見つからない場合には、"突然変異育種"と呼ばれる80年も前から続く伝統的な育種方法によって、人工的に突然変異を起こすのが一般的。
 
※Q&A詳細|バイテク情報普及会

除草剤(グリホサート)耐性の雑草

●グリホサートに耐性を持っていた雑草
 
・もともと自然界にはグリホサートのような作用を持つ除草剤に強い雑草があるということがわかってきた。
 
・グリホサートを吸収しないか、分解してしまうか、作用できないところに溜め込んでしまうか、除草剤の影響を受けないEPSPS酵素を持っているか、のいずれかの理由でグリホサートが効かない種類の雑草。
 
・グリホサートを散布して、ほかの雑草がその地域から一掃されてしまうと、ヒルガオやイチビなど除草剤に強い雑草が競争から解放されて繁茂する。
 これらの雑草は、最初から耐性を持っていた種類で、ほかの種類の除草剤の使用や散布量の増加など、より高次の防除法が必要になる。
 
●新たに抵抗性を獲得する雑草
 
・広大な面積にグリホサート耐性遺伝子組み換え作物を大規模栽培し、農薬を散布する場合、突然変異によりグリホサートが効かない雑草が現れる可能性がある。
 
・グリホサート耐性と2,4-D耐性とを組み合わせるなど(エンリスト雑草防除システム)、複数の形質を組み込むスタッキング法(異なる形質をもった植物を交配させて、複数の形質を作り出すこと)を使用すると、抵抗性獲得雑草が出現する可能性が低くなる。
 
●除草剤使用時の注意事項
 
・作用機序の異なる除草剤を交代で使用するという注意事項を守らない農家がいる。
・毎年毎年グリホサートばかり繰り返し使い続けるわけにはいかない。
・最初から複数の作用機序を組み合わせた除草剤(ダウ・ケミカル社のエンリストやラウンドアップ・レディー・エクステンドなど)もある。
 
※参考情報『小島正美(2015)誤解だらけの遺伝子組み換え作物 エネルギーフォーラム』

スーパー雑草

●遺伝子組み換え作物それ自体がスーバー雑草に
 
・遺伝子組み換え作物それ自体がスーバー雑草になってしまう可能性がある。
 1990年代後半、カナダ・アルバータ州のナタネ生産農家がラウンドアップ耐性種子、リバティ耐性種子など3種類の除草剤耐性遺伝子組み換え種子を植えた。
 すると2000年の初め、畑と周辺に育ったナタネが3種類すべての除草剤に耐性を持ち、枯れないようになっていた。
 小麦、豆、大豆の生産農家にとってはこのナタネが広範囲に"雑草"として自生してしまうと、もっと強い除草剤を使用するしかなくなる。
 カナダ王立学会は、"除草剤に枯れずに自生するナタネが、最も深刻な雑草問題になる可能性がある"と指摘している。
 
・バイオ企業は、遺伝子組み換え作物周辺に一般の作物を植えて緩衝地帯を設けることを推奨している。
 緩衝地帯において野生の雑草を遺伝子組み換え作物から遮断することで、遺伝子汚染によってスーパー雑草が発生しないようにできる、と主張している。
→花粉が長距離を飛ぶ作物の場合は成り立たないのでは?
 2003年に行われたイギリスの研究では、遺伝子組み換え作物が近親種の雑草と交配するのは距離に関係なく起こり、不可避であると報告している。
 
※参考情報『アンドリュー・キンブレル(2009)それでも遺伝子組み換え食品を食べますか? 筑摩書房』

 

・ある特定の除草剤を撒いても枯れない遺伝子組み換え作物を植えれば、その特定の除草剤に強いスーパー雑草が生まれるのでは?と懸念されている。
→今のところ農業に支障が生じるほど広範囲に発生しているわけではなく、別の種類の除草剤をまけば枯れる。遺伝子組み換え固有の問題というより除草剤の使用における問題。
 
※参考情報『小島正美(2015)誤解だらけの遺伝子組み換え作物 エネルギーフォーラム』

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください