雑草防除の概要

雑草防除についてメモ書きしています。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 雑草害の発生要因
  2. 除草剤の作用機構
  3. 除草剤の作用特性(移動性、残効性、温度)
  4. 除草剤の選択性
雑草害の発生要因

・雑草は多くの場合窒素を好むので、耕地は最も生育に適した環境といえる。
・雑草は一般的に作物より生育が旺盛で、光・養分・水の競合による生育の阻害がある。
・雑草は土壌を硬化させたり、病害虫の発生源になったり、作業能率を低下させたりする。

除草剤の作用機構

・植物は、生存に必要な物質や体内で作る物質、そしてそれらを利用する仕組みが動物とは異なっている。
 大部分の除草剤は、これら植物特有の機能を乱す事によって効果を発揮する。従ってほとんどの除草剤は、動物に対する毒性は低いのが普通。
 
●光合成の阻害
 
・葉緑素の生合成を阻害するもの(ジフェニルエーテル系、ダイアゾール系)と明反応に作用するもの(トリアジン系、尿素系、一部のカーバメート系)とがある。
 
●光合成過程での活性酸素発生の誘導
 
・パラコートは樹木以外のたいていの植物に効果がある非選択性除草剤。
 光合成の明反応で出てくる電子がパラコート分子を経て普通の酸素を急速に大量の活性酸素に変えるため、植物が枯死する。
・ジフェニルエーテル系除草剤は、葉緑素にある酵素の一種を阻害し、その結果蓄積したプロトポルフィリンⅣという色素が、光と反応して普通の酸素を活性酸素に変え、これによって細胞が破壊される。
 
●植物ホルモンのかく乱
 
・植物ではオーキシンと呼ばれるホルモンが細胞壁の透過性を調節している。
・フェノキシ系の除草剤は、オーキシンとよく似たホルモン作用を持ち、しかも作用が強く植物体内では分解されにくいため、植物の細胞壁の弛緩、吸水、細胞の伸長に異常を引き起こして植物を枯らす。
 
●アミノ酸・タンパク質生合成の阻害
 
・稲作でよく使われているスルホニル尿素系除草剤は、必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの生合成に必要なアセトラクテート合成酵素を阻害する。
・グリホサートなどのアミノ酸系除草剤は、必須アミノ酸のトリプトファンやフェニルアラニンの合成に必要な合成酵素を阻害して植物を枯らす。

除草剤の作用特性(移動性、残効性、温度)

●土壌中の移動性
 
・移動性の大きなものは、作物の種子や根に接触しやすくなるため薬害が生じやすく、効果が低下する傾向にある。
 一般に、火山性土、粘土および腐植の吸着力は強く、これらの含量の多い土壌では除草剤の移動性は小さくなる。
 逆に砂土では移動性が大きくなる。
 
・除草剤の種類によっても移動性は大きく異なるが、移動性の小さい除草剤が扱いやすい。
 
●土壌中の残効性
 
・水田の場合、残効性はある程度長いものが望まれる。
・栽培期間の短い野菜などでは、長いと後作に影響することがある。
・残効性は気温の影響を受け、冬期は長くなる場合が多い。
 
●温度と作用性
 
・除草剤は一般に温度が高いほど活力が高まる。著しいものは、処理後に高温になると作物に薬害を示すこともある。
 
・反対にIPC(クロロIPC)のように20℃以上の温度で効果が低下するものもある。

除草剤の選択性

●生態的選択性
 
・作物と雑草との位置の違いや生育ステージの差を利用したもの。
 
・位置の違いを利用した例としては、移植水田でのイネとタイヌビエの生長点の位置の違いがある。
 イネは移植されるため生長点が除草剤の処理層に触れないのに対して、タイヌビエは土壌中から発芽するため除草剤の処理層にふれることにより影響を受け枯死する。
 
・多くの除草剤は発芽時の植物に対しもっとも強く作用し、生育が進むにつれて殺草力が低下してくる。
 移植栽培においては、作物の移植後に発生してくる雑草は作物との間に生育ステージの差があるので、作物に害を与えない薬量で防除することができる。
 
●生理的選択性
 
・植物の種類によって、細胞膜の性質、器官構造あるいは生理作用は異なることから、除草剤の有効成分の浸透・移行も植物の種類によって異なる。このような違いが作物と雑草間にあると、植物体内に入る薬量にも差を生じる。
 例えば、広葉対象除草剤である2,4-Dは広葉植物体内での移動速度は速いが、イネ科植物の体内では移動しにくい性質をもっているため、広葉雑草を選択的に枯らすことが出来る。
 
●生化学的選択性
 
・植物体内に吸収された薬剤は、植物のもついろいろな物質と接触して反応を起こし変化する。こうした反応の結果、吸収された除草剤が無毒の化合物に変わったり、逆にさらに殺草力が強まったりすることがある。
 このような植物間の反応の違いを利用したものを”生化学的選択性”と言う。


※参考資料『坂井道彦,小池康雄(2003)ぜひ知っておきたい農薬と農産物 幸書房』
ホクレン農薬.net/農薬の基礎知識

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