アニマルウェルフェアの概要と世界的状況

アニマルウェルフェアの概要と世界的状況についてメモ書きしています。
※参考サイト
公益社団法人 畜産技術協会:アニマルウェルフェア

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  1. アニマルウェルフェアの概要
  2. EUの現状
  3. アメリカの現状
  4. 国際機関の動き
  5. 日本国内の動き
アニマルウェルフェアの概要

●アニマルウェルフェアとは?
 
・動物を飼育するさいの生命倫理。
・畜産技術協会などでは、”快適性に配慮した家畜の飼養管理”と定義している。
・動物福祉、家畜福祉と訳されることもある。
 
●”5つの自由”の実現
 
①飢餓と渇きからの自由
②苦痛、傷害又は疾病からの自由
③恐怖及び苦悩からの自由
④物理的、熱の不快さからの自由
⑤正常な行動ができる自由
 
●EUの取り組み
 
・1997年に発行したEUの議定書では、家畜は”感受性を持つ生命存在”と定義され、イギリスでは豚の断尾や歯切りを禁じ、EU全体では鶏のゲージ飼いや豚のストール飼いを廃止している。
 
●アニマルウェルフェアと品質
 
・”5つの自由”を尊重して飼育された家畜は、ストレスや病気が少なく健康に育ちやすいため、品質向上の面でも注目されている。
 
・イメージがよく、味もよいことから”WQ(ウェルフェア・クォリティ)ブランドとして販売されている。

EUの現状

・AWに関する最低基準がEU指令としてすでに施行されている。
 
○肉用牛
・肉用牛に関する基準では2007年から8週齢以降の子牛の単飼が禁止されている。
 
○乳用牛
・乳用牛に関する基準では2007年から8週齢以降の子牛の単飼禁止や子牛の体重に応じた1頭あたりの必要飼育面積が規定されている。
 
○採卵鶏
・2012年から採卵鶏の従来型ケージ飼育が禁止されている。
 
○豚
・養豚では、2013年以降、妊娠豚の受胎後4週間から分娩1週間前までの期間のストール(妊娠豚用檻)飼育禁止が義務付けられている。

アメリカの現状

○肉用牛
・一部の州においてAWに係る法律が制定され、肉用牛ではヴィール肉生産についての項目がある。
・生産者団体が飼養管理や家畜の取り扱いに関するガイドライン等を作成し、AWへの対応を行っている。
 
○乳用牛
・一部の州においてAWに係る法律が制定され、乳用牛では断尾についての項目がある。
・IDF(国際酪農連盟)といった生産者団体が飼養管理や乳用牛の取り扱いに関するガイドラインを作成し、AWへの対応を行っている。
 
○採卵鶏
・州によって採卵鶏のAWに関する法律があり、カルフォルニア、ワシントン、オレゴン、ミシガン、オハイオ州は従来型ケージ飼育を禁止し、生産者団体もAWへの対応に向けて様々な検討を行っている。
 
○ブロイラー
・生産者企業の9割が加盟する生産者団体がAWに関する自主ガイドラインを制定し、生産者企業は第三者機関から年に1回検査を受けるなど自主的な動きが起こっている。
 
○豚
・一部の州においてAWに係る法律が制定され、生産者団体がAWに関する自主規制を作るとともに、大手企業が2017年までに自社農場や取引農場において一定時期の妊娠豚のストール飼育を禁止する等の方針を消費者団体に示す等、EU同様の規制を行う方向に進んでいる。

国際機関の動き

・世界の動物の健康、公衆衛生及びAWの向上を目的とした政府間機関のOIE(国際獣疫事務局)では、動物の健康とウェルフェアの間には強い関連性があるということから、2004年にAW規約の原則を採択した。
 その後、輸送、食用のためのと畜などに関する規約を作成し、2012年にAWと肉用牛生産システム、2013年にAWとブロイラー生産システムに関する規約を作成して、他の家畜(乳用牛、採卵鶏、豚など)についても順次検討が進められている。
 
・ISO(国際標準化機構)でもAWの技術仕様書の作成に関する検討を始めるなど、国際機関においてAWに関する検討が積極的に進められている。

日本国内の動き

・平成25年6月に”動物の愛護及び管理に係る法律”の改正の際に”産業動物の飼養及び保管に関する基準”の中で快適性に配慮した飼養管理が謳われるようになった。
 
・一部では、EU同様の規制を求め、生産者に対して既存の飼養管理方式の禁止を求める運動も行われているなど、今後、より一層、注目が高まることが予想されている。
 
○肉用牛
・平成22年3月に”アニマルウェルフェアの考え方に対応した肉用牛の飼養管理指針”が公表。
 
○乳用牛
・平成22年3月に”アニマルウェルフェアの考え方に対応した乳用牛の飼養管理指針”が公表。
 
○採卵鶏
・平成21年3月に”アニマルウェルフェアの考え方に対応した採卵鶏の飼養管理指針”が公表。
 
○ブロイラー
・平成21年3月に”アニマルウェルフェアの考え方に対応したブロイラーの飼養管理指針”が公表。
 
○豚
・平成21年3月に”アニマルウェルフェアの考え方に対応した豚の飼養管理指針”が公表。

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