有機農業全般(品種の選択、輪作、灌水管理、耕種法など)の基礎知識についてメモ書きしています。
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品種の選択
・品種は病害虫抵抗性をもつ系統が求められる。 ・遺伝子操作した種子や種苗の使用は全面的に認められておらず、合成農薬、放射線照射、マイクロ波で処理された種苗の使用も一部を除いて認められていない。 ※参考資料『坂井道彦,小池康雄(2003)ぜひ知っておきたい農薬と農産物 幸書房』
輪作
・土壌肥沃度の維持、硝酸塩流亡の減少、雑草および病害虫の削減が目的で行われる。 ・異なる作物のローテーションは、土壌中に生息する病原菌、線虫、害虫などの病害虫の増殖を抑制するばかりでなく、雑草をも抑制するといわれている。 ・土壌肥沃度を維持するために、マメ科植物などを輪作体系に組み込むこともよく行われる。 ※参考資料『坂井道彦,小池康雄(2003)ぜひ知っておきたい農薬と農産物 幸書房』
植生管理
・天敵が生息できるような植生帯を配置し、その働きを助長する。 ・ヨーロッパではヘッジロウと呼ばれる生垣が推奨されている。 畑の周囲にマメ科、キク科、イネ科を混播した植生帯を設けて天敵相を豊かにしており、天敵に花粉や蜜、えさの昆虫やすみかを提供している。 日本では圃場が狭く、このような植生帯を設けづらいというのが実情。 ※参考資料『坂井道彦,小池康雄(2003)ぜひ知っておきたい農薬と農産物 幸書房』
耕種法
・雑草や害虫の管理は、農薬の代わりに機械を使って行う。 ・機械除草は、雑草や植物残渣を土で覆うので雑草や病害虫発生の抑制に有効。 ・耕起は土壌の流亡を起こすこともあり、狭い地形の地域では等高線に沿った耕起が求められたりする。 ・雑草防除は、輪作や機械防除のほか、刈り取った草などで地表面を覆ったり、数種の作物を交互に間作したり、早期の苗床準備と早期の畝立てなどによって抑制する。 ・数種の作物を交互に植栽する方法は、植物同士の干渉作用を利用したもので、土壌養分の有効活用にもなっている。 ※参考資料『坂井道彦,小池康雄(2003)ぜひ知っておきたい農薬と農産物 幸書房』
施肥と灌水管理
・窒素の過剰供給は病害虫や雑草の発生を助長するので、バランスのとれた施肥が求められる。 ・排水が悪いと多くの土壌障害を誘発するので、適正な排水管理が求められる。 ・灌漑水も病害虫の発生を助長したり抑制したりするので、野菜では畝を高くして、土壌中の天敵や拮抗微生物に灌水の悪影響が及ぶのを回避する。 ※参考資料『坂井道彦,小池康雄(2003)ぜひ知っておきたい農薬と農産物 幸書房』
総合的病害虫管理(IPM)と有機農業
※総合的病害虫管理(IPM)は以下の記事参照。
総合的病害虫・雑草管理(IPM)の概要
総合的病害虫・雑草管理(IPM)の概要
・経済的で環境や人体への影響がより少ない手法で有害生物を防除する。 ・有機農法が経験主義的で、農薬や化学肥料の使用を完全に排除しているのに対し、IPMは農薬や化学肥料の使用を排除していない。 ・有機農法はGM作物を利用しない事になっているが、IPMでは必ずしも排除していない。 ※参考資料『坂井道彦,小池康雄(2003)ぜひ知っておきたい農薬と農産物 幸書房』