畜産と病原菌、抗生物質、耐性菌

畜産と病原菌、抗生物質、耐性菌などの情報についてメモ書きしています。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 狂牛病
  2. O157
  3. 鶏の病原菌
  4. 家畜の発育促進と抗生物質
  5. 抗生物質の過剰使用と耐性菌
  6. 成長ホルモン
狂牛病

・牛や鶏の生産者は、いまだに飼料に動物の血液や内臓など体の一部を混ぜることでタンパク質成分を水増ししている。
 狂牛病の発生以来、血液や内臓、屑肉などをそのまま牛の飼料に混ぜることは違法になったが、牛の血液や内臓を鶏や豚の餌に混ぜることは依然として違法ではない。
 
・安上がりなタンパク、カロリー源として重宝されているフェザーミールと呼ばれる、鶏舎に溜まった鶏の羽やこぼれたトウモロコシなどのごみを集めて牛の餌にする事も合法。
 
・上記よりBSEに感染した牛から出たプリオンが鶏の消化器官を経由して牛の飼料中に戻る可能性は否定できない。
 
※参考情報『ポール・ロバーツ(2012)食の終焉  ダイヤモンド社』

O157

・水系や洪水を介して広がることもあるが、この細菌は水がなくても広がる。
 
・土が乾くと多くの細菌は死滅するが、O157は何週間も場合によっては何ヶ月も乾燥に耐えることができる。
 浮遊粒子(エアロゾル)化し、空気中のゴミに混ざって飛散することで感染を広げることもあり得る。
 
※参考情報『ポール・ロバーツ(2012)食の終焉  ダイヤモンド社』

鶏の病原菌

・アメリカで消費される鶏肉の半分以上が、シプロフロキサシンに対する耐性を獲得しつつあるカンピロバクター・ジェジュニという病原菌に汚染されていて、毎年200万人に体の変調をきたした上に、一部の人にギラン・バレー症候群という急性の神経障害をもたらしている。
 
※参考情報『ポール・ロバーツ(2012)食の終焉  ダイヤモンド社』

家畜の発育促進と抗生物質

●家畜の体重増加と抗生物質
 
・食肉用の家畜を太らせるために農家は抗生物質をずっと使ってきた。
・抗生物質は若いブタの成長を1日におよそ10%早める。
・2006年以降、EU加盟国の農家は家畜を太らせるために抗生物質を使うことを禁じられている。
・アメリカその他の多くの国では、抗生物質の成長促進剤は今も使われている。
・たいていの先進国では、薬を与えたばかりの家畜を搾乳したり食肉工場に出したりすることは禁止されている。
・家畜の糞を有機肥料として利用している場合は、ごく微量とはいえ農作物に抗生物質が吸収されることも考えられる。
 
※参考資料『アランナ・コリン(2016)あなたの体は9割が細菌 河出書房新社』

抗生物質の過剰使用と耐性菌

・人間や動物に低用量の抗生剤を与えると、細菌にとっては微調整をして耐性を獲得する理想的な環境。
・食用動物に由来する耐性菌が、人間に感染しつつある。
・20世紀末に、世界で生産された抗生剤のおよそ半分は食用動物向けだった。その多くは病気の治療ではなく、予防や発育促進のために使われている。
・EUでは、発育促進のために抗生剤を使用することは原則禁止されている。しかし、病気予防と称して抗生剤を使用し、発育を促進させている例もある。
・多くの動物を互いと接近した状態で飼う工場式農場は、病気の温床となっている。
欧州医薬品庁は、工場式農場は薬害耐性菌が進化し、繁殖し、生き続けるのに最適の環境を提供している、と述べている。
・工場式農場で飼われる動物は、環境が劣悪なせいでたいていはストレスを抱え、免疫力が落ちている。
 輸送もまたストレスを高める。動物が輸送されるときには、細菌やウィルスの数を増やしながら、それらをばら撒くことが分かっている。
 行き先が食肉処理場だった場合、病原体が食肉につく可能性もある。
・鳥インフルエンザや豚インフルエンザといった攻撃的なウィルスによる病気は、集約型畜産と密接に関わっている。
・農場で生まれた病気が広がる主な原因は、肥育や食肉処理のために家畜を長距離輸送することにある。
・野鳥のインフルエンザは、一般に低病原性。
 多数の家禽が押し込められた小屋に入ると、感染を繰り返し、その都度、自分のコピーを作りながら群れの中を移動する。そのコピーを作る間に遺伝子に起きたエラーや変異は修復されない。こうして新たな病気の株が生まれていく。
 
○乳牛
 
・"乾乳牛療法"とは、乳房炎を予防するために、乳房に抗生剤を定期的に注入する装置。
・"包括的乾乳牛療法"では、飼われているすべての乳牛が、次の出産に備えて泌乳をとめている2~3ヶ月の間にこの措置を受ける。
・一部の有機農家を除いてヨーロッパで広く行われている。
 
○豚
 
・工場式農場では、母豚がすぐまた妊娠できるように、子豚は通常、生後4週間で母豚から引き離される。
 EUの法律が認める最低月齢である生後1ヶ月で離乳した子豚は、免疫力が弱く、重い感染症にかかりやすいので、多くの集約農家は、子豚が離乳するとすぐ、その飼料に抗生物質を添加し始める。
 
○鶏
 
・英国の産卵鶏に関する研究の結果では、群れの規模を小さくしたり、放し飼いにしたりするとサルモネラ保有率が下がることを裏付けていた。
 
○MRSA
 
・2004年、MRSA ST398(NT-MRSA)という、それまで知られていなかったMRSA株が豚に見つかり、人間に広がりつつある。
・MRSAは生肉に付着していることが多い。
 
※参考情報『ポール・ロバーツ(2012)食の終焉  ダイヤモンド社』

成長ホルモン

※遺伝子組み換えウシ成長ホルモン(rbGH)については以下の記事参照。
畜産における遺伝子組み換えの”遺伝子組み換えウシ成長ホルモン(rbGH)”

・FDAとUSDAの承認を得て、米国の工場式農場は、肉牛の成長と乳牛の牛乳生産を促進するためにホルモンを使用している。
 豚と家禽へのホルモン使用は規制で禁止されているが、豚と家禽への抗生物質使用には適用されない。
 
・食用に飼育される米国の牛全体のおよそ3分の2に成長ホルモンが投与されている。
 EUでは、肉牛へのホルモン投与は1980年代以降禁止されている。
 EUの安全性を調査する委員会の1999年の報告では、投与された動物の肉に含まれる残留物は人体のホルモンバランスに影響を及ぼし、生殖に関する問題や乳がん、前立腺がん、結腸がんを引き起こす可能性があるとこが分かった。
 EUはホルモンを投与された牛肉の輸入を全面的に禁止しており、これは米国産の牛肉をいっさい受け入れないことを意味している。
 
※参考情報『エリック・シュローサー(2010)フード・インク 武田ランダムハウスジャパン』

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