畜産における遺伝子組み換えについての情報をメモ書きしています。
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遺伝子組み換えウシ成長ホルモン(rbGH)
・乳牛にrbGHを投与してより多くのミルクを生産できるようにした。 ・rbGHを投与した乳牛から採ったミルクには、高濃度のインスリン様成長因子IGF-1が含まれていた。IGF-1に汚染されたミルクは、人間の消化過程では完全に分解されず、一部は吸収されることが判明。 ハーバード大学医学部などの研究では、人間の体内でインスリン様成長因子の濃度が高まることは、大腸がんや前立腺、乳がんの発生率を上昇させる危険性につながる。 ・rbGHは、家畜が大量に病気。牛の場合には痛みを伴い死ぬこともある歩行困難牛の割合を増加させた。 ・痛みを伴う乳房炎にかかる牛が増加。 →乳牛が重症の乳房炎にかかると治療のために抗生物質の量を増やす →抗生物質がミルクの中に混入。膿が混じってしまい、体細胞数が増加して早く腐敗。 ・事実上、世界中の国が使用を禁止。 ・ウシ成長ホルモンは、1994年に米国食品医薬品局(FDA)に認可を受けたが、それ以前から農業や食品の安全、動物福祉を擁護する人々の間で議論の的となっていた。 →なぜ承認されたのか?回転ドアの影響? ※参考情報『アンドリュー・キンブレル(2009)それでも遺伝子組み換え食品を食べますか? 筑摩書房』
・乳牛に投与される、遺伝子組み換えによって作られる人工的な成長ホルモンで、投与された牛の牛乳生産量は8~17%の範囲で増加している。 ・カナダ、オーストラリア、日本、EUでは、rBGHの使用を禁止している。 ・米国の乳牛全体のおよそ22%にホルモンが投与されているが、工場式農場で見られるような大規模(500頭以上)な牛群では、rBGHが使用されている割合は54%に上る。 rBGHの使用によって乳牛の細菌性の乳房感染症が25%増え、その結果、感染症を予防するための抗生物質の必要性が増している。 ・遺伝子組み換え牛成長ホルモン(rBGH)を摂取した牛の牛乳や乳製品に含まれる強力な化学ホルモン"インスリン様成長因子(IGF-1)"が著しく高レベルであると、人々に乳がん、前立腺がん、大腸がんといった深刻な被害を引き起こす可能性がある。 ※参考情報『エリック・シュローサー(2010)フード・インク 武田ランダムハウスジャパン』
遺伝子組み換えとクローン動物
・バイテク企業は、ほとんどすべての食用の家畜類のクローンと遺伝子組み換え種を開発している。 遺伝子組み換え魚とクローン乳牛からとったミルクについては、食品医薬品局(FDA)が販売許可を下すのを待っている段階。 ・多くのクローン動物は、95~97%の割合で健康な子供を産めない。 ・クローン牛の場合は、一般的に妊娠による合併症がひどくなる。子牛が異常なほど成長しすぎたり、舌が大きくなる、顔が押しつぶされる、腸閉塞、免疫不全、下痢といった症状も起こる。 ・他のクローン動物の場合も、心臓や肺の障害、肝臓の欠陥、脳の異常が高い割合で発生している。 ・全米科学アカデミーも"遺伝子組み換え動物の場合、特に身体構造上、生理学上、あるいは行動上の形質に、予期せぬ遺伝子の影響が発現する可能性がある"と警告している。 ・食品医薬品局(FDA)は、2008年1月に体細胞クローン家畜について、"肉、乳製品とも従来の家畜と変わらない"として食品の販売を認可した。 他方、EU議会は同年9月に、食用に関する目的でのクローン動物の飼育、販売、輸入などを禁止する勧告を採択した。 日本では2009年3月、体細胞クローン家畜を食品とする事を認める答申を出した。 ※参考情報『アンドリュー・キンブレル(2009)それでも遺伝子組み換え食品を食べますか? 筑摩書房』
●クローン技術の必要性、メリット ・品種改良を重ねて優れた血統を作り出すことは可能だが、最高の個体のその子供も同じように最高になる保証はない。そこでクローン技術が必要となる。 最も生産性が高い家畜と遺伝的に同じ個体を増やせば、全体の生産性を大幅に上げる事ができる。 さらにもう一つのメリットとして、最高の雄牛が事故にあって怪我をしたり死んだりしたときの保険になる。 ●クローンの問題点 ・クローンの妊娠に関して、とりわけ深刻な問題として胎児水腫の多発がある。胎児が水脹れになり、死にいたる病気。 米国食品医薬品局のデータによれば、胎児水腫はクローン牛の妊娠の13%~40%の割合で発生している。 ・妊娠後期の流産も大きな問題。ヨーロッパの研究では、クローン胚のほとんどは妊娠中に死亡する。 ・クローン動物は、出生時から深刻な問題を抱えていることが多く、先天性異常、免疫力の低下、心臓、肺、主要臓器の疾患など。 ※参考資料『フィリップ・リンベリー(2015)ファーマゲドン 日経BP社』