畜産の廃棄物、汚染に関する情報をメモ書きしています。
以下の記事も参照。
・家畜の糞尿の処理方法
・養豚の環境問題
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養豚の排泄物
●豚のスラリーによる汚染(米国、欧州) ・豚のスラリー(糞尿)がとうもろこし畑に散布されている(豚の糞尿の処分場)。とうもろこしは小麦などと違って丈夫なので、枯れない。とうもろこし畑には、最大の収穫を上げるのに必要な量の3,4倍の糞尿がまかれている(フランスのブルターニュ) 散布しすぎているので、雨が降るとスラリーは河川や帯水層に流れ込む。 その結果、大量のリン酸塩や硝酸塩が帯水層や河川に流れ込み、やがて大西洋に運ばれていく。 大西洋では藻がその栄養を吸収して異常発生し、海水の酸素が足りなくなり、魚などの海の生き物が窒息死する。 ・豚の糞尿には微量の殺虫剤や発がん物質で内分泌系をかく乱するカドミウム(成長を促進する亜鉛補給材に添加されている)、定期的に豚に投与される抗生物質の残留物が含まれている。 →畑に散布 →水源の汚染 ・暗く、悪臭がたちこめる飼育施設の空気には、有毒ガスや糞便に含まれる病原菌、バクテリアが充満している →周辺地域では、動物だけでなく畜産業者も慢性的な呼吸器疾患などの健康問題を抱えている。 空中には通常よりも多いアンモニアが漂っている ・ポション方式 豚が主にその農場で育ったものを食べ、藁の寝床で幸せに暮らす、より持続可能な形態の養豚。 ●米国ノースカロライナの豚の排泄物の池 ・1995年に、ノースカロライナ州の養豚会社の糞尿でいっぱいになった18,000平方メートルの貯水池が決壊し、史上最悪の流出事故になった。 ・豚の排泄物をためた池には、大量の糞尿だけでなく、血液、胎盤、死産した子豚まで捨てられている。(ノースカロライナ) ・養豚場の作業員は時折貯水池の中身をくみ出し、近くの農場にまいている。 しばしば、過散布が起き、土地は有毒な豚の排泄物に覆われ、腐っていく。 過散布によって、川の水のリンと窒素の濃度が異常に高くなってしまうことも考えられる。 ※参考資料『フィリップ・リンベリー(2015)ファーマゲドン 日経BP社』
工場式畜産と環境汚染
●工場式畜産の問題点 ・工場式畜産場は、家畜の排泄物の量が多すぎ、なおかつ、それを活用する土地が遠すぎる。その結果、排泄物は間違った場所に捨てられる事になる。 ・豚の排泄物をためておく大型のタンクや池では化学反応が起き、悪臭がひどくなっている(腐った卵のにおい)ので、農家が無料でも受け入れを拒む場合がある。 ●欧州の状況 ・EU法では、大規模養豚・養鶏施設は、汚染に関して"工場施設"に分類されている。 各施設は、排出限界など汚染物質の排出に関連する様々な条件について、当局の許可を得なければならない。土地に散布する排泄物の量および時期について、一定の制限を課している。 しかし、EU本部は最近になってそれがあまり効果を発揮していないことを認め、公害のホットスポットの監視を強化し、さらに強力な行動計画を推し進める必要があると述べた。 欧州委員会は、糞尿の"貯蔵限度"について"相変わらず問題が頻発している"と指摘し、工場式畜産の経営者が、禁止されている時期や悪天候の時期にも肥やしをまいていることを示唆している。 ※参考資料『フィリップ・リンベリー(2015)ファーマゲドン 日経BP社』
・人類が引き起こした地球温暖化の77%は二酸化炭素に起因するが、残りのほぼすべてをメタンと亜酸化窒素が占めている。後者の大半は農業に起因している。 主な排出源は、家畜排泄物のずさんな管理、肥料の使いすぎ、反芻動物の消化に伴う自然な排出、わずかながらの稲の生産も原因。 ・CAFO(大規模畜産経営)の場合、排泄物の量が多すぎて、システムのサイクルに戻すことができない。 排泄物は、糞尿の"貯蔵地"に蓄積される。酸素が十分に供給されないので、排泄物からメタンガスや亜酸化窒素ガスが生じる。 ※参考資料『エリック・シュローサー(2010)フード・インク 武田ランダムハウスジャパン』