病害虫の発生予察事業と要防除水準の概要

病害虫の発生予察事業の概要に関する情報についてメモ書きしています。

※参考情報
発生予察事業とは(PDF)

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 発生予察事業の目的
  2. 発生予察事業の概要
  3. 病害虫防除所
  4. 発生予察情報
  5. 要防除水準
発生予察事業の目的

・病害虫のまん延は、重大な損害を与える恐れがあり、県境を越えて拡大するため、国と都道府県は協力して病害虫の防除を行い、まん延を防止する必要がある。
 
・都道府県の協力のもとに、病害虫の発生状況、気象、生育状況等の調査を実施し、その後の病害虫の発生を予測し、それに基づく情報を農業者等に提供している。
 
・広域、急激にまん延して重大な被害を与える病害虫について、その発生動向等を調査。

発生予察事業の概要

●発生予察事業の流れ
 
①病害虫の発生量等調査
②調査データの解析
③解析に基づく予測
④予察情報の提供
⑤予察情報に基づく防除の実施
⑥病害虫による被害の軽減
 
●農業者等に提供する主な内容
 
・今後、発生が多くなると予測される病害虫。
・病害虫を効率的に防除できる時期。
 
●発生予察の効果等
 
・病害虫の発生動向を捉えた効率的な防除。
・農薬の過剰散布を避け、費用・労力を低減(スケジュール散布)。
・過去の病害虫の発生動向に関するデータは、病害虫の生態解明の研究や現在の防除対策の策定に寄与。

病害虫防除所

・発生予察事業に必要なデータは、各県に設置された病害虫防除所が予察灯やほ場等を調査し収集。県内の病害虫発生を監視する要として存在。
 
・防除所職員数は漸減しており、各職員が行う業務の重要性は益々増加。

発生予察情報

●発生予察情報の種類
 
○予報(概ね月に1回発表)
・病害虫の発生予測及び防除情報を定期的に発表
 
○警報(都道府県の判断により適宜発表)
・重要な病害虫が大発生することが予測され、かつ、早急に防除措置を講ずる必要が認められる場合に発表
 
○注意報(都道府県の判断により適宜発表)
・警報を発表するほどではないが、重要な病害虫が多発することが予測され、かつ、早めに防除措置を講じる必要が認められる場合に発表
 
○特殊報(都道府県の判断により適宜発表)
・新たな病害虫を発見した場合及び重要な病害虫の発生消長に特異な現象が認められた場合に発表
 
○その他(都道府県の判断により適宜発表)
・月報、技術情報など、上記に含まれない情報を発表
 
病害虫発生予察情報のリンク

要防除水準

●要防除水準とは
 
・病害虫の発生状況を調査し、経済的な被害を防ぐために防除することが必要になる病害虫の発生状態。
 
・病原菌や害虫は、その密度があるレベル以上になると、作物に対して減収等の被害を及ぼす。この時の害虫の密度を特に要防除水準とよんでいる。
 
●要防除水準と発生予察
 
・病害虫防除は何が何でも防除が必要というのではなく、発生予察情報などを参考に害虫の発生状況に応じて行うのが原則。
 
・発生予察情報を生かして病害虫を適期に防除するためには、防除を必要とする病害虫の発生程度を知らなければならず、そのため、要防除水準が設定されている。
 
・設定する際には、まず収穫物の被害がどこまで許されるのかを検討する必要がある。
 病害虫の発生を低く抑えて収穫物を増やせば農家の利益が増えるが、防除費が増えるとその分純益は減ってしまう。
 収穫物の販売額と防除費の差が最大になるような病害虫発生密度があり、それを"経済的防除水準"という。
 しかし、この水準は被害が出た時点での発生密度であり、実際には被害がでるよりもかなり前に防除しなければならない。
 そこで実際の田畑で、作付けの初期から病害虫の発生密度を調べて被害と初期発生との関係を明らかにし、経済的防除水準を超えないようにするためには、どの程度の発生時点で防除しなければならないかを研究して要防除水準を設定する。
 
※参考資料『坂井道彦,小池康雄(2003)ぜひ知っておきたい農薬と農産物 幸書房』

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